第79話 似たような人が揃うと酷く面倒臭い
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の前に迫りくる【死】―――
手が勝手に動いた。シュテルの意思とは無関係に彼女の両手が持ち上がり、迫って来た桜月を両手で挟み込むように受け止めたのだ。
「何ぃぃぃ!」
「こ、これは!!」
その光景に桜月は勿論シュテル自身も驚かされた。彼女が意識的に行った動作ではない。では一体何故。
(例え魔法が駄目でも、二本の腕があればまだ戦える。だから、まだ諦めるには早いよ)
(まさか、もう一人の私……貴方が!?)
シュテルの頭の中に声が響く。それはなのはの声だった。つまり、この動きも彼女が行った事となる。
銀時の元で侍の戦いを垣間見て来た彼女ならば、この動きが出来ても不思議ではない。
「このガキ、こんな芸当を隠し持ってたのか? だったら、力任せに……」
「力任せ? 私一人にならいざ知らず、今の【私達】にその手が通用すると思いますかぁ!」
シュテルの渾身の叫びと共に桜月の刃を押しのけて払いのけた。
予想外の出来事に引き下がる桜月。その様を見せつけられた銀時ですら呆気に取られてしまう程だった。
「何だ……こいつの力は……」
「ご助力お願いします。もう一人の私! 私たちのお父様を助ける為にも!」
(勿論だよ。もう一人の私! 一緒にお父さんを守るんだ!)
シュテルとなのは。同じ体の中に住む二つの人格が今、一つの目的の元互いに手を取り合った。
「えっと……そのぉ……え、何? つまり、今のお前はどっちなの? なのは? それともシュテル?」
「両方です!」
「あっそ……」
少なくとも、銀時が今思える事は一つしかない。今まで以上に面倒な事になった。それだけの事である。
つづく
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