第79話 似たような人が揃うと酷く面倒臭い
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無数の機械の管が姿を現す。先ほどなのはを拘束していたのと全く同一の代物だった。其処まで桜月は宿主を侵食していたのには驚かされる。
だが、その攻撃も無駄に終わった。
「残念ですが、その距離でも私の手は届きますよ」
後方に居たシュテルが呟く。それと同時に数発の魔力で攻勢された弾丸が放たれ、桜月の桜月の繰り出した機械の管を打ち抜いて行った。
粉々に砕かれる機械の管を前にして、桜月は歯噛みする思いに駆られた。
「このガキ、つくづく癇に障る事しやがって」
「貴方の行いでしたら既に2〜3手先まで読んでいます。どんな手を使っても無駄ですよ」
「え? 何。お前そんな知的なキャラだったの? 今までのバカキャラが嘘みたいに崩壊してんじゃん。マジでインテリキャラになってんじゃんお前」
「当然です。この程度の事が出来なくては百戦錬磨を成しえる事は叶いませんからね。これからは腕っぷしだけではダメなのです。知力と策略、そして何重にも練り込んだ作戦と計略更には―――」
「うん、もう良い。今はお前が酷く面倒臭いってだけ分かったからそれだけで良い。とにかく少し黙っててくれ。後で300円あげるから」
自信たっぷりに答えるシュテル。そしてそれをどうにか黙らせる銀時。
別人格とは言え此処まで違ってくると正直驚かされる思いだった。
元の人格と呼べば良いのか、とにかく前の人格だったなのはは銀時が親になったばかりに知的とは程遠い感じのキャラに仕上がってしまっていた。
それに対し、今の人格でもあるシュテルは知的に事を運んでくる。まぁ、反面面倒くさい受け答えがあると言うデメリットはあるがこの際それには目を瞑れば良いだろう。
「さっき、言ったよなぁ。俺の動きは2〜3手さきまで読めると……」
「申し上げた通りです。どうこようと無駄ですよ。さながら3代目ジョースターさんの如く次に貴方が何を言うのかを予測するかの如く―――」
「もう良いっつぅの!」
正直シュテルが喋るだけでかなり文章が取れてしまいそうな気がしてきた。そんなシュテルを怒鳴って止める銀時。だが、その余裕は突然終わりを迎えた。
「だったらこれは予測出来てたかぁ!?」
大声で勝ち誇ったかの様に叫ぶ。そして、桜月は突如として偽装船に向かい桜月を突き刺し出した。
深々と突き刺したそれは偽装船の航行機能を著しく削いでいく。
それがどう言う意味かと言うと―――
「せ、船体が……揺れる!?」
そう、先ほどまで平坦だった戦場が激しい揺れと傾きに襲われ始めたのだ。
下手に足を取られたらそのまま海面に向かい真っ逆さまとなるだろう。咄嗟に銀時は白夜を同じように船体に突き刺し倒れるのをどうにか防いだ。
そう、それこそが桜月の狙いだったのだ。
「お父様!」
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