第79話 似たような人が揃うと酷く面倒臭い
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妖刀―――
名称や威力等は多々あれど、一貫して普通の刀とは桁違いの強さを誇る刀。
村正やエクスカリバー、他にも様々だがとにかく有名どころの類は大体これらに含まれるであろう。
それを手にした者は常人を凌駕する力を得られ、百戦百勝の強者になれると噂されている。その為、誰もがこぞって妖刀を手に入れようと躍起になると言う事だ。
だが、妖刀を手にした者は確かに力を得られるだろうが、それを手にした者は決まって、碌な死に方をしない事が多い。
それもまた、妖刀の名を広めている要因なのかも知れない。
力とは、それを得る為にはそれ相応の代償を払わねばならないのだ。
”ましてや、妖刀などを使って力を得たのならば尚更である。”
***
両者の刀と刀が互いに激しく交差しあう。戦場であれば見慣れた光景でもあった。
激しくぶつかり合う鉄と鉄。舞い散る火花に戦場を色鮮やかに彩る金属音。戦場を経験している者であれば誰もが見慣れ、聴き慣れた代物であった。
だが、銀時はそれらを目にし、耳にしつつも己が胸中に芽生えた不気味さを拭い切れずにいた。
人、人ならざる者。それらと幾重にも刃を交えて来た事のある銀時ではあったが、まさか刀と戦う事になるとは夢にも思わなかった事態でもある。
しかし、これは決して夢でもなければ幻でもない。今現在も銀時の目の前でしっかりと起こっている現実そのものなのだ。
朱き刀身を持った妖刀『桜月』―――
その朱色の刀身から物語る通り、手にした者を一騎当千の豪傑へと変える妖刀である。並みいる強豪を打ち倒し、使用者を強者へと誘う深紅の刃。
だが、その為に支払う代償は使用者の肉体と命の二つ。それを今、先ほどまで桜月を使っていた岡田は支払ったのだ。
今、こうして銀時の目の前で刃を振るい激戦を繰り広げているのは岡田であって岡田ではない。
既に人斬り似蔵こと岡田似蔵はこの世には居ない。今居るのは妖刀・桜月の操り人形と化した哀れな人斬りに他ならない。
「どうした? 動きが鈍いぞ白夜叉。昔の方がもっと良い動きをしてただろうが?」
「るせぇ! 昔って何時の話してんだよ。銀さんこう見えてまだピチピチだから昔話するネタなんざねぇっつぅの!!」
軽口を叩きつつも、銀時は苦戦を強いられていた。先ほどとは違い、今の桜月の刀身は初期状態の紅桜と相違ない姿に戻っている。だが、見た目と威力が同じとは決して限らない。現に今こうして立ち会っている銀時には分かる。これは紅桜とは似ているが全くの別物に成り代わっている。分かりやすく言うならば、フリーザ第2、第3形態を見た後で見るフリーザ最終形態を見たような心境だ。
要するに見た目に騙されるな。と言う事だ―――
「くそっ、こ
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