外伝〜闇王の器〜
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敬し、いつか父に褒めてもらおうと幼い頃から戦に参加し、活躍をして行ったがいくら活躍しても父が自分を褒める事はなく、父は自分の事はあくまで”駒”の一つとしてしか、見ていなかった事。それでもセオビットはいつか父に自分の力を認めて貰うために前線に参加するために城にある転移門に入った矢先、なんの因果か転移門の調子がおかしくなり、今の時代のどこかの荒野に転移してしまった事。そして訳がわからなったセオビットだったが、父がいるラエドア城があるリガナール半島に戻った時、島全体は腐敗と瘴気の土地と化し、生物が近寄れない土地と化していた。故郷どころか、島にも近寄れず、大陸に戻って来たセオビットだったが半魔人やプライドの高い自分自身の性格のため、同族達になじむ事もできず彷徨っている所をディアーネが軍を結成しているのを見て、暴れる事で現実を逃避するために今回の戦いに参加した事を話した。
「あなたなんかに!私の気持ちがわかるわけがないわ!」
話を終えたセオビットは涙を流しながらリウイを睨んで叫んだ。
「いや、わかる。」
「!?」
しかしリウイの言葉にセオビットは驚いた。
「俺もかつては人間に父を、母を奪われ、そして人間からは忌嫌われ、魔族達からは”半端者”として険悪され、孤独だった。」
「なんで………そんな事があって、なんで人間と魔族の共存を目指しているの!?」
「フッ…………皮肉な事に”人”の優しさや暖かさを知ったのも”人間”のお陰だ。そして何より………この俺に安らぎや”人”を愛する事を教えたのも人間だったしな………」
信じられない表情で尋ねるセオビットの疑問にリウイはかつての自分、そして自分に犯されても自分の事を一切恨まず、逆に自分に安らぎを与え、寿命が尽き幸せそうな表情で自分の傍にいれた事に感謝し、自分の真の幸せが来る事を願いながら逝ったティナ。そして自分が心から愛した女性――イリーナを遠い目で思い出していた。
「ふふっ…………認めたくないけど、貴方を羨ましいと思ってしまったわ……………私とは違って、貴方には”居場所”や自分を認めてくれる人がいるのね…………」
「……………………………」
寂しげに笑っているセオビットをリウイは黙って見ていた後、やがてオーブメントを駆動させた。
「水よ、かの者に慈悲を与えよ………ティア・オル!!」
リウイが放ったアーツによってセオビットの傷を完全に治癒した。
「なっ、一体何を………!」
リウイの行動にセオビットは訳がわからず、戸惑った。そして自分を見上げて戸惑っているセオビットにリウイは手を差し伸べて言った。
「………俺の手を取れ、セオビット。メンフィルは光にも闇にも属さず、どんな者でも受け入れる、………例え”半端者”として忌み嫌われる
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