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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十話 立場と名とその意味
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とすれば我々が応じねばゾーネンキントのみが呼び出されただろう。そうなれば結果的に我々は呼び出されることになる。こいつの前にさらすなどという危険を負うぐらいなら気に入らんが貴様に呼び出されたほうがましだ。
だが、だからといってこのような愚考を許したわけでは無いのでな。奴を始末したら次は貴様だ……といいたいところだが、貴様が現状の白騎士代行だ。尤も、ベアトリス…ヴァルキュリアがいれば奴に白を渡して貴様を手ずから始末したのだがな」

「そこまでにしておけ。奴にあまり時間は掛けれん」

そういって会話の仲裁をする呼び出されたもう一人、ゲッツ・フォン・ヴェルリッヒンゲンは静かにそして淡々とそう発言する。

「そうだよエレオノーレ。幾ら残ったアウグストゥスが教会に居るとはいえ藤井蓮を相手にするには荷が勝ちすぎるでしょ。速いとこ動かないと取られちゃうよ」

「黙れ。そもそもその原因となった貴様が意見するな。少なくともアレがいたから応じたのだ。傀儡なりに守護する役目すら果たせぬなら貴様がそこで朽ち果てることとなることを覚悟しておけ」

今まで現れなかった最後の分体であるアウグストゥスとルサルカを喰らったパシアスは教会にてゾーネンキントを守護していた。だからこそ本来ならばマキナ一人で充分であろう戦場にエレオノーレは念を入れ現れたのだ。ちなみに誰に対して念を入れたは言うまでもないだろう……

「これはアウグストゥスへ予め力を譲渡しておいてよかったというべきかな?」

アルフレートは未だに拘束されながらも己の策が成功したことに素直に歓びの笑みを浮かべる。藤井蓮は教会に向かっていることだろう。遊佐司狼はおそらくタワー、同時に司狼をおってヴィルヘルムもタワーに向かうことだろう。櫻井螢に関しては諦めきれないなら此処に、開き直ったなら教会に向かうはずだ。

「さあ、ヴァレリア。この状況を打開する策は何かあるかい?」

彼は嗤いながらヴァレリアに呼びかける。対するヴァレリアは自身の状況の悪さを理解しており打開するべき策を頭の中で考え続けた。だが、考えを続けれたのはそれまでだった。

「ハアァァァアアッッ!!」

その声は大気だけでなく大地まで震わせた。音ではなく気の轟咆が彼を中心に振るわせたのだ。その爆発にも近い咆哮にヴァレリアとクラウディウスは呑まれる。彼の威は確かに強大だが彼らはそれ以上のものに触れたことなどいくらでもある。事実、威勢の大小で語るならば黄金が最強だ。それを知る以上、単に大きいだけの威に怯みはしない。
彼らが呑まれたのはまったく別のこと。静と動の振り幅だった。つい先程まで誰もが気に留めることのなかった絶の状態から戦闘を行う最上の状態に持っていく発。
逃げようとしても助かる可能性があるのは自分ひとりでありクラウディウスは確実
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