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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十話 立場と名とその意味
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。もとより城にいたわけでもない彼に槍を防ぐ手立ては無かった。彼自身には(・・・・・)

瞬間、二つの大きな魂が現れる。そのプレッシャーにこの場では最も弱いクラウディウスだけでなくヴァレリアまで悪寒に襲われる。そして、必殺必中の聖槍は真の持ち主を恐れるかのように屈折した。

「フン、まさか我々を顎で使うはな。本当に貴様は腹立たしい。まあ良い、まずは貴様だクリストフ。貴様が策を弄していることに我々が気づいていないとでも思っていたのか?下種が。鍍金が剥がれた以上、もはや一片の価値も無いと思え」

そこに現れたのは教会に居るはずだと思われていたエレオノーレだった。まさかと思いヴァレリアは一瞬とはいえ呆然としてしまう。
例えばこれが聖槍で狙う相手がテレジアや代理のゾーネンキントである香純ならばまだ納得がいった。チェックメイトを避けるためにキャスリングを行う。正しい判断だ。だが、目の前にいるのは所詮は代理の三騎士の一人。いかに昇格(プロモーション)をしようとも彼は王《キング》になることは出来ない。そんな端役を救いにましてや三騎士が出てくるとは思いもしなかった。

「一体何故?貴方たちは教会にいたはずだったのでは……」

「確かにそうだ。ゾーネンキントを守護するために我々は教会で待機していたのだがな。そこの馬鹿がやってくれたよ。まさかあの茶菓子の類は貸しという扱いだとはな」

「来てくれるか如何かまでは賭けだったんだけどね?流石に契約にも無理があったし対価が茶菓子の後にも必要だしね。その気になれば解約できただろうからね」

昼にザミエル、マキナ、テレジアの三人が食した茶菓子と紅茶。それらに呪術的刻印を刻み込むことによって契約を施行していた。円卓のテーブルにおける位置取り、材料、いつ抓みどられた茶葉かなどとそういった目に見えぬ上に小魔力《オド》を介さない大魔力《マナ》の術式を組み込んだ契約だった。
大魔力《マナ》による術式は基本的に他者に発見されにくいものだ。何故なら元からその場に基となる物存在する物だからだ。例えば、川に無色透明の溶液をバケツ一杯流した程度で気付けるだろうか。当然、よほど周りに害悪を及ぼしているのが目に入らぬ限りそれに気づくことは無い。これらの魔術はそういったものだ。影響が小さく条件が厳しい変わりに余程の観察眼を持たない限り誰であろうとも気がつけない。
そしてその内容は『今日中に呼ばれたなら応じる』といったものだ。勿論、直接的に小魔力《オド》を介さぬ契約による強制力は小さく、今日という制限に応じるだけというものにすることで契約を何とか保たせているようなものだ。しかし逆に応じさえすれば後は己の魂を消費することで転移で呼び出せた。

「解約しようにも貴様、ゾーネンキントにも契約を掛けただろ。アレにレジストは出来ん。だ
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