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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十話 立場と名とその意味
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ょう。唯一危惧すべきはシュライバー卿のみでしょうが、彼が相手ならば私が傷つくことは無い」

「?……ああ、ヴォルフガングか。彼は既にヴィルヘルムに殺されているよ。だからこそ今の僕は三騎士の代替として白の役割を請け負っているんだけどね」

その言葉にヴァレリアは驚嘆を露にする。が同時にこれは絶好の機会だということも確信する。つまり、此処で彼を討てば、ハイドリヒ卿は現代に蘇ることなく三騎士もその機能を果たさなくなるからだ。黄金練成は不完全になるが彼は完全な黄金練成を望んでいるわけではない。寧ろ好機だ。
チェックメイトとまではいかないだろう。しかし、ここで彼を斃せばこちらが守りに入る必要は無く、攻めの一手を打ち続けることが出来る。

「それは好都合、此処で貴方を討たせてもらいますよ。案じずとも貴方もいつかは救ってあげます。故に怨んでくれても構いません」

「怨みなんてしないさヴァレリア。怨むという言葉は理不尽に感じたことや不幸、嘆きを他者に訴えることなんだよ。そんな後ろ向きな考えを続けるほど僕は暇でも陰湿でもないさ」

「親愛なる白鳥よ (Mein lieber Schwan,)」

ヴァレリアはその言葉を無視して己の知る最強の矛を使うべく詠唱を始める。時間を掛ければ掛けるほど己が不利になることは確実であり、いかにクラウディウスが魂を燃やしてでも拘束術式を発動させているとはいえ、いつ破壊されるかも分からない鎖が解かれる前に斃すのは当たり前のことであった。

「この角笛とこの剣と指輪を彼に与えたまえ (dies horn, dies Schwert, den Ring sollst du ihm geben.)
この角笛は危険に際して救いをもたらし (Dies Horn soll in Gefahr ihm Hilfe schenken,)
この剣は恐怖の修羅場で勝利を与えるものなれど (in wildem Kampf dies Schwert ihm Sieg verleiht)
この指輪はかつておまえを恥辱と苦しみから救い出した (doch bei dem Ringe soll er mein gedenken,)
この私のことをゴットフリートが偲ぶよすがとなればいい (der einst auch dich aus Schmach und Not befreit! )

創造 (Briah―)
神世界へ―――翔けよ黄金化する白鳥の騎士 (Vanaheimr――Goldene Schwan Lohengrin )」

彼が正しい意味での三騎士に当てはまる存在であったなら槍は自傷行為を避けるために槍の方から躱しただろう。しかし、彼はあくまで代理でしかなく、水騎士という役割も彼自身が自らの知識を使い無理に用意した物だ
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