第3章 リーザス陥落
第88話 奥義
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、ちょっとよろしいでしょうか? 志津香さん。ユーリを回復しますので」
「えっ、ええっ!?」
いつの間にか、傍に来ていたのはクルックー。これまた、神出鬼没、と言う言葉が当てはまるだろう。更に言えばユーリとトーマの一騎打ちが始まる前までは、その小柄な身体で、2〜3倍はあるヘルマン軍をちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返していたのだが、流石のクルックーにも疲れはあるのだろうか、少し、肩で息をしていた。それでも 表情に殆ど出さないのは驚愕である。
志津香は、驚きつつも 頷いた。何をするのかが判ったからだ。
「……いたいのいたいの、とんでけーー! いたいのいたいの、もっと、とんでけーー!!」
それでも、必死にユーリに神魔法をかけ続けた。ヒーリング1、ヒーリング2、と傷の具合を見つつ、どんどん上げていく。
……己の身体の疲労など、今負っている傷など全く考えずに。
ユーリは、志津香に身を任せていた時、瞼が重くなっていた為、目を閉じていたのだが、癒しの光が降り注いだのを確認すると、目をゆっくりと開けた。
その先には、必死に魔法をかけ続けてくれているクルックーだ。
彼女の表情は ポーカーフェイスなのだが、付き合いが一番長いユーリにはよく判った。クルックーも心配してくれている、と言う事を。
「……ありがと、な。くるっくー。たすかる……」
「いえ、当たり前の事をしただけです。……ユーリ。 それにこれは、ユーリが教えてくれたんですよ?」
「はは、そうだった、な……」
「……はい。ご無事で、よかったですよ。……ユーリ」
ユーリは、クルックーを見て、ウインクをした。クルックーの表情も穏やかになる。僅かな表情の機微、だがそれでも志津香は、チクリ、としたものを、胸に感じた。だけど、今は鉄拳、じゃなく鉄脚制裁は流石にしない。ギャグっぽい攻撃 でも、今は危ないと感じたのだろう。……当然だが。
そして、そんな時だった。
「……見事だ。ユーリ」
ユーリが倒れふしていた時に、確かに声が聞こえた。
あの男からだ。
「っ……!!」
志津香も驚いている。勿論、志津香だけではない。場にいる全員が驚きを隠せられなかった。場の雰囲気が一気に冷える気がしたが……、それは杞憂だった。
「あの一撃を受けて……」
「人類最強、それは 技量のみならず、身体の強靭さをも、と言う事だろう。……心底感服する。今戦において、オレは 初めて 敵を尊敬したかもしれん」
ユーリは倒れているが、その傍に、トップの実力者の2人がいると言う事。そして、トーマは話しているものの、起き上がる気配はなかったからだ。
それよりもリック、そして 清十郎は、驚いていた。トーマの身体を高くに弾き飛ばす威力のあ
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