第3章 リーザス陥落
第88話 奥義
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全くしねぇで、突っ込んでいってたんだぜ? だから、アイツが一番傍だった。ま、志津香の方が近くなくたって、オレらよりも早かったかもしれないがな。アイツ、ここぞって時の力は、魔法使いとは思えないし。あの蹴り技しかり、ってな具合でな?」
「うー、まさにラヴの力ですかねー……」
トマトは、やや しょんぼり気味だ。だが、その表情はどこか晴れやか。ユーリが勝利してくれた。だからこその表情だ。……嫉妬の眼差しはご愛嬌、いつもどおり。
ミリに関しても同じだった。あの世界最強。人類最強決定戦とも言える戦いの間に、割ってはいろう等する度胸が驚嘆だったのだ。そして、 最後まで手を出さなかったのは、ユーリの言葉を訊いていたからだ、と言う事もよくわかっていた。
「……よかった、です。本当に……」
「……うん。ほんと、だよ……ユーリ……」
かなみは、目に涙を浮かべていた。
あの人類最強に勝利した事、ユーリが無事だった事。それらが入り乱れて、いたのだ。確かに志津香の事が羨ましい、と言う気持ちも少し、少〜〜しはあったが、それ以上に嬉しかったのだ。だから、かなみもゆっくりとユーリの傍へと移動していた。志津香の隣でかがみ込んで……、自分にとっての英雄、―――大好きな人の傍にいる為に――。
そして、かなみについていくのはメナド。ユーリとトーマの一騎打ち。正直やめて欲しかった面が多い。あのトーマは人間じゃない。人類最強と呼ばれる所以を目の当たりにしたのだから、そう思ってしまっても仕方がないだろう。だからこそ、戦って、更に勝って……、感慨極まるとはこの事だった。
――そんな強くて、優しいユーリの事を、メナドはあの時から想ってきたのだから。
「よかったです……。ユーリさんが、無事で……」
「ほんと、だよね……、ユーリ 無茶し過ぎだよー 幻獣さんの様に 当たっても死なない訳じゃないんだよー! あ……でも あの大きなおじさんに殴られたら、幻獣さんでも、無理かも……」
ランとミルも同じく安堵していた。身体の力が抜け ランは剣を落とす。まだ、恩を返せていない。何一つ、出来ていないと思っているからこそ、だった。
ミル自身もほっとしており、あのトーマを相手に出来る幻獣など、よく考えたらいない事を思って、身が縮み上がる想いを改めてしていた。
「―――アイツは、人間を、やめてるんだろうな……、悪魔の私をこんなにしちまうあんな怪物に、勝つんだから…………。(って言うか、気を失う前……、私、ユーリに……??)///」
寝かされていたフェリスも、目を覚ました様だった。
圧倒的な戦いの空気に当てられ、意識を無理矢理覚醒させられた、と言う方が正しいかもしれない。後、薄れゆく意識の中で、雄大で力強く
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