第3章 リーザス陥落
第88話 奥義
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られない戦いを背に背負う。……中でも、恐らく一番なのが、鮮やかな緑色の、エメラルドの輝きを持つ長い髪の少女………。
――― 煉獄・奥義
勝利の女神を背に、ユーリは全身全霊で振り抜く。
「―――黒龍閃」
ユーリは、弾いた勢いのままに、己の身体を回転させ、更に踏み込んだ。空間を挟んでの交差に加えて、回転した事で発生する遠心力。あらゆる力を収束させた居合の一撃。居合を極めた者の一撃を入れた。
煉獄が、剣に宿り……黒水晶の様に鮮やかに、染まる剣から繰り出される居合は、まるで獰猛な竜の牙、もしくは鉤爪。
その感じは、剣ではなく、まるで―――黒き竜の攻撃。一閃。
トーマよりも巨大で、強大な黒龍は、トーマのその巨体を喰らった。
明確には、最強の居合の一撃。それを受けたトーマは瞬く間に、宙へと弾き飛ばされた。
ヘルマンの巨体を守る強固な黒鎧もまるで意味を成さない。粉々にこそ、ならなかったが ユーリの刃の触れる周囲。幅、1cmにも満たない剣の刃の筋なのだが それはまるで、棍棒で肉を抉ったかの様な傷が、黒鎧に出来ていた。
そして 宙高く吹き飛んだトーマの身体まるで、スローモーションの様だった。
トーマの身体は宙に浮かび……そのまま 地面に激突した。
その一撃をまともに受けたトーマだったのだが、驚くべき事に、叫び声の1つさえ無かった。……いや もしかしたら、叫ぶ暇さえも無かったのかもしれない。
それは、勝敗が完全に決した瞬間だった。
見事、技を放ち 当てたユーリだったのだが、……その威力は使用者本人にも相当な負荷を与えるようだ。力強く握っていた筈の剣もいつの間にか落としていた。そして、感覚も無い。……同じく いつの間にか 片膝をついていた。
だが、それは当然だといえるだろう。トーマの攻撃自体の威力。そして空間を挟んでの交差法。凡ゆる力を集中させるが故に、だ。様々な力を、ここまで収束させたから、自分自身の身体にも相応の衝撃が襲い続けている。
そして、これまでの戦闘の傷跡、それも完治などしていないのだ。
神威の力を纏った反動。志津香のおかげで癒えたものの、完全完治とは程遠い。
「い、あいの……じゃくてんなど、……熟知、してるさ。――……だが、あいにくだったな。トーマ……、オレの居合。奥義の居合は、二段構え。隙を生じないために、だ。……それを、見誤った、な……………。格下と、ゆだんした……、そして、勝ちを疑わなかったこと、――それが、おまえの敗因、だ………」
そう言うと同時に、その身体も完全に崩れ落ちた。糸の切れた人形の様に。
「っっ!! ゆぅっっ!!」
その身
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