第3章 リーザス陥落
第88話 奥義
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が、トーマのその選択が功を無し、黒鎧に阻まれ身体にまでは至らなかった。
「ここじゃァァァ!!!! 秘剣―――――骸斬衡!」
脇に差していた刀を抜き、一気に殲滅せんばかりに、ユーリの身体めがけて、己の最強の技を繰り出した。戦鎚での必殺技ではなく、刀を使用した秘剣。粉砕ではなく、斬撃。
その必殺の一撃は、例え 掠っただけでも、相手は紙くずの様に斬り裂かれ、その衝撃で吹き飛ばされ骸と化してしまう。故にその凶悪な威力に敬意と畏怖の念を込められて広まった。 ……トーマ自身がつけたその剣技の名が《秘剣・骸斬衡》である
全身全霊を賭けた一撃。人類最強の男が放つ最強の攻撃だ。
幾ら歴戦の戦士。人類最強と称される男であっても、この一瞬 勝利を確信したのは無理もない事だった。相手の技を捌き、且つ己が最も信頼していると言っていい最強の技を繰り出しているのだから。だからこそ、己の勝利を疑わなかったのだ。
―――だが、ここで更に有り得ない事が起こった。
「っっ!!」
突然、何かが起きた。それ以上はどう表現すれば良いのか判らなかった。
そう、言うならば まるで、吸い込まれるかの様に 目の前のユーリの方へとそのトーマの巨体が引きずられるのだ。懸命に両の足で大地に踏ん張るも、地面が抉れ、引き寄せられ続ける。
「なっ!! (ひ、引きずり込まれる!? いや、違う!! ヤツに吸い寄せられている!?)」
高速に回転をし続ける覚醒した脳内では、この現象を瞬時に理解した。
「(吸い寄せられている!! ち、違う、儂だけじゃない!)」
この間にも、己の巨体が成すがままに引きずられ、吸い寄せられ続ける。
トーマの身体だけではない。吹き荒れた砂埃が、風に舞い浮遊していた木ノ葉が、この空間の全てが吸い寄せられているのだ。
「(この前方の空間、か!? ……これは、まさか、捌いた一撃目の威力で、弾かれた空気が!?)」
そのユーリの身体程ある足で、踏ん張るのだが まるで止められない。地面を抉る様に、トーマの身体は引きずられてゆく。
「(――時間差を生じて、急速に辺りの物体ごと、元に戻ろうとしていると言うのかッ!?)」
トーマがそう悟ったとほぼ同時だ。
時間間隔の矛盾は、永遠に続くわけではない。
刃は届くべき所へと届く。届かない者には、決して届かない。
――……勝利の女神が微笑んだ方が、勝つのだ。
『――――ゆぅぅっっ!!!!』
ユーリにとって、神とは良い印象はない。――寧ろ敵だと言っていい存在である。
だから、ユーリにとっての勝利の女神と言う者は、背後にいる少女達の事。負け
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