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ソードアートオンライン アスカとキリカの物語
プロローグ 平和な日常
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ンライン〉。
それこそが兄の部屋に無断で入ってまで明日香が探していた、あるもの、だった。


原因は昨日の夜の出来事だった。
いつものように、家政婦の人が作ってくれた夕飯を、遅くなると母親にメールした父親を抜いた3人で食べているときだった。
家政婦さんの料理の味には何一つ文句はないのだが、明日香は無言で行儀良く食べる自分の家の夕飯風景が嫌いだった。
機械的に料理を口に運ぶ、それは食事と言うよりただの栄養補給のように感じた。
母親に言わせれば、それ以外にどのような目的があるのか、などと言われそうだが。

明日香は一度だけ、たった一度だけ、なんとか親の許しを得て命の家に泊まったことがあり、夕飯を命の家族とともに頂いた。
本音を言えば,料理自体は自宅で家政婦が作ってくれている料理の方が美味しかった。
しかし,味など些細な違いだった。取るに足らない要素だった。
明日香にとっては、仲良くおしゃべりしながら、大皿にのった料理を楽しそうに奪い合うようにして食べている光景が何よりも深く印象に残った。
命も,命の妹も,命の両親も楽しそうに笑いながら大皿へと箸をのばしていた。
その暖かな光景を,自分の家の食事風景と比べてしまった。どちらの方がいいか,なんて比べるまでもなく分かっていたことだったのに。
それ以来明日香は自分で料理をするようになった。母親には何度も止めるように言われたが、これだけは譲れずに,「料理ができた方がいろいろと便利」の一点張りで,やり続けた。今でも、昼のお弁当は2日に1度は自作のものを学校に持って行っている。
せめて自分の手で料理を作りたかったのだ。あの暖かな雰囲気を再現することが出来なくても。無機質な料理でなく,人の思いが込められていた料理を再現したかったのだ。
もともと器用なこともあり,料理の腕はすぐに上達した。
けれど,いくら美味しいお弁当を作り,食べても,あのときの・・・今にも鮮明に記憶に残っている味にはたどり着けていなかった。


態度の変わらない母親が夕飯は家政婦が作ることを譲らないので、諦めて箸を進める。
家政婦の作った料理には何の罪もない。食べないわけにはいかなかった。
それに美味しい。自分の料理の味向上のためにも味わって頂く。

かちゃかちゃとフォークやスプーンなどの食器を動かす音だけが聞こえた。
そのとき、いつもは会話することもない浩一郎が急に話し始めた。
浩一郎が今日購入したゲーム,―――〈ソードアートオンライン〉について。

〈ソードアートオンライン〉

ネットゲーマーでなくても今やそのゲームの名を知らないものは殆どいないだろう。
まして父親が大手電子機器メーカーの社長だ。息子である明日香の耳に入らない方おかしい。

〈完全ダイブ〉システム。

詳しいことは明日
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