第103話(3rd篇開始)
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語らい、滅多にある機会ではありませんもの。……何でしたら、このパーティーが終わってから貴方のお部屋ででもゆっくりと。」
紳士の言葉を聞いた婦人は上品に笑った後、紳士の耳元で囁き
「ふふ……光栄です、マダム。………女神達の目を盗むことができたら喜んで。貴女の部屋ではいけない理由は、まあ、聞かないでおきましょう。」
「イヤな方。」
そして紳士は婦人から離れて、ある程度歩くと振り返って大勢の仮面の貴族達と談笑している主催者を見つめた。
(宴もたけなわ……そろそろ頃合いだな。彼のプライベートルームは甲板デッキを抜けた最上階……よし……動くとするか。)
紳士は広間を出ようとしたが、何かの気配を感じて振り返った。すると一瞬だけ黒いローブ姿の仮面の男が現れたが、男は一瞬で消えた為紳士には見えなかった。
(………………妙だな………誰かに見られていたような………まあいい、とっとと始めるとしよう。)
気を取り直した紳士は目的の場所に向かった。目的の場所の前には黒服の者達がいたが、紳士は何かのペンダントを掲げて、黒服達を眠らせ、そして部屋内を物色して隠しスイッチを見つけて順番に押して行き、隠し扉が現れた。隠し扉を開ける為にパスワードが要求されたが、紳士は正しいパスワードを打って、扉を開かせ、その中に入って行った。
紳士が隠し扉の中に入ると、そこはさまざまな宝物品や大量のミラがあり、そして真ん中の台座に何かのペンダントが置かれていた。
「”愚者のロケット”―――身に付ければ、大抵の嘘を相手に信じさせることが出来る禁断のアーティファクトの一つか。やれやれ……武器商人風情が大それた物を。」
紳士が台座に近づき、溜息を吐いた後アーティファクト―――”愚者のロケット”を台座から手に取った。すると警報が鳴り、入って来た扉が閉まった!
「フン……」
それを見た紳士は慌てず、不敵な笑みを浮かべていた。一方隠し扉の先では黒服達が集まって、隠し扉を睨んだ。
「クッ、どういうことだ!見張りの連中はいったい何をしていた!?」
「……2人揃って仲良く眠らされてたぜ。針か噴射器を使ったらしい。」
「フン……同業者かもしれんな。このままパーティーが終わるまで中に拘束する。コンラート様に報告するのはその後にするぞ。」
「仲間がいる可能性は?」
「監視カメラの記録を見る限りこいつ一人のようだ。ただ、バックアップが他にいる可能性は高いだろう。」
「今のうちに招待客全員をマークした方が良さそうだな。」
黒服達が隠し扉の前で扉の先にいる侵入者について相談をしていたその時
「フフフ……」
侵入者の妖しげな笑みが聞こえてきた。
「おい貴様!何がおかしい!」
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