第二十七話 マクシミリアン・シンドローム
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くれ」
「御意」
「ああ、例の計画書、読んだか?」
「トリスタニアのアンダーグラウンドを一掃する計画……でしたね」
「うん、アントワッペンの一件もそうだけど、ああいった連中が不貞貴族の手足となって、悪さをするのが通例だからね、だったら手足を切り取ってしまえば、そうそう悪さも出来ない」
「実は、殿下の御言いつけ通りに、現在、詰めの作業を行っているところです。朗報をお待ち下さい」
「そうか採用したのか、任せたよ」
「御意」
数週間後、全密偵団員を動員してトリスタニアの『掃除』が行われる事になる。
☆ ☆ ☆
ひとまず、流民たちの受け入れの準備が出来たと報告があり、エドゥアール王は王軍の一部を護衛に付けさせた。
この護衛には、マクシミリアンに感化された貴族……『マクシミリアン派』とでも言おうか、彼らも同行して事で貴族と民衆との間も狭まったように思えた。
ミシェル・ド・ネルはアントワッペンの反乱以来、マクシミリアンの提唱する『ノブレス・オブリージュ』に傾倒し、勉強や魔法の鍛錬に明け暮れ、時間が空けば家人たちを連れて奉仕活動をしていた。
当然、今回の流民騒ぎをミシェルは黙っているはずも無く、父に頼み倒して僅かな備蓄を持って駆けつけ炊き出しの指揮を取った。
「貴族様、大変ありがとうございます」
「ありがとうございました」
「ありがとう、貴族様!」
「そ、そうか、皆、向こうでも元気で」
動き安いようにと男装姿のミシェルは、王軍に護衛され、新しい土地へと去って行く流民を眺めていると、老若男女、様々な人々から感謝の言葉を贈られた。
照れながらも、手を振り返すミシェルに注がれる視線は暖かかった。
(私は間違ってはいなかった!)
内心、握りこぶしを握っているとミシェルを呼ぶ声が聞こえた。
「ミス・ネルでございましょうか? 殿下がお会いしたいと仰っております。至急、新宮殿までお越し下さい」
「え? 殿下が……でございますか。分かりました、すぐに参ります」
ミシェルは家人たちに後の事を任せると、持ってきた馬に飛び乗り新宮殿へと向かった。
……
新宮殿に到着したミシェルは、謁見の間へ通された。
謁見の間には、炊き出しに参加した貴族が数人居てお互い会釈をし合った。炊き出しの最中、友誼を結んだ者が居たからだ。
「マクシミリアン王太子殿下、ご入来!」
家臣がマクシミリアンの入来を告げると、ミシェルを含めた貴族たちは一斉に頭を下げた。
「皆、この度の一件、真に大儀だった。民衆の護衛の為にこ
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