第51話 江戸城無血開城
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
、西郷殿。そんな口車に乗ってはなりますまい」
二人の穏やかな雰囲気に水を差すように男の声が割って入った。
「誰だい。姿を見せな」
勝は声の方を睨みつけた。男は、静かに障子を開けた。
「武市殿、最早、話はついたでごわす。おまさの出る幕はない」
「な、なんだって!!西郷さん、今なんといった?」
勝は驚き目を見開いて西郷を見つめた。
「旧土佐勤王党の党首・武市瑞山でおわすよ、勝先生。今は新政府軍の参謀を任せておりもうす」
西郷は勝に向かって言った。
「ば、馬鹿な!!」
「フフフフ、そういうわけだ、勝海舟殿」
武市はにやりと笑った。その不気味さに勝は寒気を感じた。
「じゃっどん、ここは引いてくれんかのぅ、武市さ」
西郷は武市を睨みつけた。
「いいでしょ。ですが、この戦いはまだまだ続く。そう心得よ、勝海舟殿」
武市は笑い声を上げながら、勝と西郷の前から立ち去った。
「西郷さん、あの男、本当に武市半平太なのかい?武市といえば、死んでるはずじゃないのかい?」
「あの男は、ほんまもんの武市瑞山殿でごわす。おいは、逢ったことがごあんど。まぎれもない、武市瑞山、その人でごわす」
西郷は勝に真剣な眼差しで答えた。
「じゃっどん、そろそろ、武市さにはこの舞台から降りてもらないといけんですな」
西郷はにやりと微笑んだ。
ここに江戸城無血開城が成ったのあった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ