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魔界転生(幕末編)
第51話 江戸城無血開城
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、西郷殿。そんな口車に乗ってはなりますまい」
  二人の穏やかな雰囲気に水を差すように男の声が割って入った。
「誰だい。姿を見せな」
 勝は声の方を睨みつけた。男は、静かに障子を開けた。
「武市殿、最早、話はついたでごわす。おまさの出る幕はない」
「な、なんだって!!西郷さん、今なんといった?」
 勝は驚き目を見開いて西郷を見つめた。
「旧土佐勤王党の党首・武市瑞山でおわすよ、勝先生。今は新政府軍の参謀を任せておりもうす」
 西郷は勝に向かって言った。
「ば、馬鹿な!!」
「フフフフ、そういうわけだ、勝海舟殿」
 武市はにやりと笑った。その不気味さに勝は寒気を感じた。
「じゃっどん、ここは引いてくれんかのぅ、武市さ」
 西郷は武市を睨みつけた。
「いいでしょ。ですが、この戦いはまだまだ続く。そう心得よ、勝海舟殿」
 武市は笑い声を上げながら、勝と西郷の前から立ち去った。
「西郷さん、あの男、本当に武市半平太なのかい?武市といえば、死んでるはずじゃないのかい?」
「あの男は、ほんまもんの武市瑞山殿でごわす。おいは、逢ったことがごあんど。まぎれもない、武市瑞山、その人でごわす」
 西郷は勝に真剣な眼差しで答えた。
「じゃっどん、そろそろ、武市さにはこの舞台から降りてもらないといけんですな」
 西郷はにやりと微笑んだ。
 ここに江戸城無血開城が成ったのあった。

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