暁 〜小説投稿サイト〜
異世界に呼ばれたら、魔法が使えるようになりました。
起動できたようですか?
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海の中は冷たい。
そして服に海水が染みわたり、とても重い。
服を着たまま泳ぐ経験は、昔、もしも服のまま水の中に投げ出されたらどうなるのか、といった避難訓練の様な物で経験した時のみである。
海水に体温を削られないように厚着をした方が良いといった話も別の機会に聞いた事がある気がする。
懐かしいなと思いながらも、感覚は僕にはあるのに体を害されるとは少しも思えないのはなぜだろう。
やはり僕が異世界人だからだろうか?
疑問に思いつつも、すぐ傍で気を失いかけているレイアの手を掴み海面を目指すけれど、氷が邪魔をする。
隙間から顔を出してもいいが、その途端に先ほどの氷の欠片が顔面にぶつかってきそうである。
けれどレイアの息はあまり続かない様な、そんな気がする。
どうしようかと慌ててポケットを探ろうとして……そこである物が目の前に泳いでくる。
正確には流れに乗ってこちらに飛んできたのだけれど、目の前には先ほど当てるのに失敗した“魔法結晶石”がとんできたのだ。
だから僕は空いている手でそれを取り、こういった魔力をそのまま解放したらどうなるのだろうと思う。
とりあえずは一度くらい試してそれから、別の方法で周辺の頭上に満ちる氷を壊せばいい。
どうやら魔力に酔って僕の体は水の中でも何の支障も起きないようなのだから。
そう考えながら“魔法結晶石”に触れて、出来れば風になって欲しいと願う。
ぴしっと“魔法結晶石”にひびが入って、何かが書き変わるのを感じる。
僕がイメージする通りに全てが変化する。
これってもしかしてとても“怖い”事の様に感じる。
でも今はそうであったくれた方が都合が良いので、そうなってくれるよう願う。
同時になのかがその“魔法結晶石”から放出されて、
「……周りが空気で満たされてっというか、氷にぶつかる……あっ」
その風は空気で、それに押し出されるように僕は海面へと向かう。
そこで氷の一つに当たりそうになったけれど、氷はその風に押しのけられて幸運にも僕の顔面にぶつかって痛い思いをせずに済む。
風は僕達の体を宙に浮かせるように吹いていて、海の海綿状を浮かんでいる状態になる。
しかもこの風は少し暖かく、服も大分乾いてしまった。
ただ、海水だったためか所々に、塩の結晶がついていてざらざらするが。
それよりもぐったりしているレイアに僕は声をかける。
「レイア、レイア、大丈夫?」
「……颯太?」
「よかった、気がついたみたいだね。よし、怪物は倒したから、次はその起動させる必要がある遺跡に向かおう。何処かな?」
「……すみません、この辺りだとしか私も知らないのです」
とても大雑把な説明に僕は、色々と突っ込みたい気がした。
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