第百六話
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ラギが、野太刀を俺に振り下ろすことはなく――
「なっ……!?」
――日本刀《銀ノ月》の刃が、深々とスメラギの心臓部分を抉っていた。
「おっ疲れ様〜」
「……お互いに」
この謎のデートらしき日の最後を飾るのは、この層にあるNPCレストラン。そこはちょうどよく、水泳授業のお礼にユウキに貰った、特別な品を出してくるチケットが使える店で。……それだけは、今日という日に感謝していいかもしれない。
あのスメラギ先生のデュエルで偽デートは終わりだったらしく――クラインたちは最後まで、『覚えてやがれ!』とチンピラのように逃げていった――この店の入口で待ち合わせをしていたアシュレイさんも、どうやらご満悦だった様子で。
「うんありがとう、いい作品が創れそうだわー。ああルクス、ちょっとマネキンになってくれる?」
……などと言いながらルクスを連れて行った。ルクスには悪いような気もするが、今の今まで覗いていた天罰だということにしておく。
「しっかし何がしたかったのかしらねぇ、アシュレイさんも。あ、でもショウキは使えそうで良かったじゃない、アレ!」
「……手加減されてたっぽいけどな」
リズが笑顔で語りかけてきたのは、スメラギとのデュエルで使った隠し玉のことだろう。そのおかげでデュエルには勝ったものの、どうにもスメラギは全力を出していないように感じられた――正確には、まだ切り札を隠し持っている、というべきか。
「ま、何かライバル認定されちゃったみたいだし? 負けないように頑張んなさいよ?」
「他人事だと思って」
こちらの隠し玉――OSSを受けて敗北したスメラギは、満足そうに『次は負けん』と宣言すると、クラインたちにもう一度セブンのライブのことを伝えて帰っていった。そんな様子を楽しそうに茶化すリズを見ていると、無意識に髪をクシャクシャと掻いてしまう。
「対人戦には問題なく使えそうだけど……ソードスキルを使う、っていうのはまだ慣れないな」
「あんたのOSSは、また普通のとは違う気がするけど。そんなことより、そろそろ……あ、来たっぽいわよアレ」
ソードスキルについて心のままに忌憚ない意見を語ったつもりだが、今度はリズが苦笑する番だったらしい。それにしてもリズの言う通り――今はOSSやらソードスキルの話より、特別なチケットを使わなくては食べられないという、特製アイテムのことを考えるとしよう。普通ならばボタン一つで目の前に現れるが、雰囲気を重視してか給仕用のNPCがお盆に乗せて持ってきていた。
十中八九、自分たちへの特製食材だ。このチケットをくれたユウキに感謝しつつ、今日のよく分からない出来事を水に流すことにしよう。どんなものか想像をかきたてられるソレに、俺もリズも
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