第百六話
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深げにしていると、デュエル開始の鐘が鳴る。まったく動こうとしないこちらに対し、怪訝な表情のスメラギが警告してくるが、俺は手を柄に置いたまま動くことはなく。
「そうか」
その言葉とともに放たれた、音速を超える斬撃――こちらにも聞こえるほど力強い踏み込みから、上半身と下半身を両断せんとスメラギの野太刀が迫りくる。
「ッ……!」
右、左、後ろ。いずれに逃げても斬り殺される。その野太刀の長さと速さからそう素早く判断すると、俺は空中に跳び上がった。そのままスメラギの顔めがけて跳び蹴りを敢行するものの、首をズラされ避けられてしまう。
「そこだ!」
追撃の野太刀が迫る前に翼でもって飛翔し、野太刀が届くか届かないかの距離まで後退する。しかしてスメラギもただ待つわけもなく、いつの間にやら唱えられていた魔法により、ウォーターカッターが幾つもこちらに向けて精製される。
「っそこ!」
なかなかの精度ではあったものの、真っ正面にただ飛んでくる魔法など敵ではなく。遂に鞘から解き放たれた日本刀《銀ノ月》による抜刀術によって、的確に魔法の中核を斬り裂かれたことにより《スペルブラスト》が発生する。幾つものウォーターカッターが斬り裂かれたことは、流石のスメラギもそれには驚きを隠しきれておらず、その隙に日本刀《銀ノ月》を再び鞘にしまいこみ、専用ポケットからクナイを取れるだけ取り出した。
そして風の魔法を伴ったクナイが、全方位からスメラギに襲いかかる。逃げ場も斬り裂けもしないクナイの殺到に、スメラギは慌てず魔法を唱えると、水の魔法壁がスメラギの周囲を覆う。水の膜とも言うべきそれに侵入したクナイたちは、いずれも勢いを失って水の膜の中で沈殿する。
そして魔法の効果時間は切れ、水は空気中に還っていき、クナイはバラバラと地上に落ちていき――
「そこ――ッ!?」
スメラギはクナイを目くらましに地上に降りていた、こちらの動きを全て目で追っていた。魔法の効果時間切れを狙った奇襲攻撃も読んでおり、地を駆ける俺に向けて野太刀を構えたが――もはやそこに俺はおらず。
高速移動術《縮地》。その移動法によりスメラギの視界から消え、俺はスメラギの構えた野太刀の逆方向から迫っていた。狙いはその首、日本刀《銀ノ月》の鍔を押し上げ、抜刀術の構えに移行する――
「っつ!?」
――こちらの眼前にクナイ。俺が放っていた物をいつの間にやらスメラギが回収しており、高速移動術《縮地》に反応して投擲したもの。このまま直進すればクナイには当たるだろうが、確実にスメラギに抜刀術をたたき込める――が、このデュエルは初撃決着モード。与えられるダメージは抜刀術の方が多いだろうが、こちらが先にクナイに直撃してしまえば、いくら抜刀術が会心の一撃だろうが
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