外伝〜調査依頼、承ります〜(インターミッション終了)
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」
「…………所長?どうかなさいましたか?」
手紙を見つめて考え込んでいるリシャールに気づいたカノーネは不思議そうな表情で訊ねた。
「………………………いや………市長宛の郵便物がまた間違って届いてしまったようだね。この事務所も元は彼の家だから無理もない話だが………やれやれ、私が届けてくるよ。」
「えっ、今からですか?ですが今にも雨が………」
「なに、すぐ隣だ。降られても心配ないさ。君は定期連絡の方を頼む。」
「は、はい……」
リシャールの様子が僅かにおかしいことにカノーネが戸惑っているとリシャールは事務所を出た。
(…………………くっ…………)
事務所を出たリシャールは市長邸に向かわず、橋を渡り始めた。
(あの手紙は………)
そしてリシャールが橋を渡り始めると雨が降り始めた。
リシャールが見つけた手紙の貼り方は情報部で使っていた特殊なものであり、手紙の内容はフェイク、本文は封筒の貼り合わせ方に暗号化されていた。………「発着所へ来られたし」………元情報部の人間が自分を呼び出している……恐らくは、自分に投げつけたい暗い感情を抱えて――――………それを理解していてもリシャールは元情報部将校として……そいて情報部に所属していた人々の人生を狂わせた張本人として行かなければならないという義務で発着所に急いで向かった。
〜ルーアン空港〜
「………お待ちしておりましたよ。」
リシャールが発着所の倉庫前まで来ると、そこには一人の将校がいた。
「………君か、センダー。」
「……お久しぶりです、大佐。お元気そうで何よりです。」
「もう大佐ではないよ。何度説明しても、なかなかわかってもらえないのだがね……」
かつての部下―――センダーにかつての軍位で呼ばれたリシャールは苦笑しながら説明した。
「……いえ、本日は敢えて大佐と呼ばせていただきます。」
「……………………………」
センダーの言葉を聞いたリシャールは呆けた表情で黙り込んだ。
「……大佐、貴方にお尋ねしたいことがありまして。僭越ながら、こうしてお呼び出しさせて頂いた次第です。」
「……私に答えられる事なら何でも答えよう。遠慮はいらない……納得のいかない事があるならいくらでも言ってくれ。」
センダーから何を言われても言いように覚悟を決めたリシャールはセンダーが話しやすいように親しみのある微笑みを浮かべて促した。
「………大佐、ではお聞きしますが……何故、軍を辞められたのですか。貴方の愛国心はどこへ行ってしまったのだ!」
センダーがリシャールを睨んで叫ぶと雷が鳴り響いた!
「……君は……軍職に復帰したようだね。………
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