外伝〜帝都への帰還〜前篇
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ったのだが。まったく柔らかいところだけを際限なく伸ばしおって………」
「フフ、それがボクの唯一ともいえる武器だからね。あの”鉄血宰相”に少しでも対抗できるだけの。」
「…………………」
陽気な様子で語っていたオリビエだったが話の最後に真剣な表情になり、オリビエの話の最後の言葉を聞いたミュラー少佐は真剣な表情で黙り込んでいた。
「今の所、全て順調だ。宰相閣下は3日前、東部諸州の視察旅行に出発した。それと入れ違いに、お前は明日、”アルセイユ”で帝都に帰還する。各方面への根回しも万全の状態だ。お前の帰国は間違いなく華々しいものになるだろう。」
「妨害要素は?」
「情報局の四課が多少動きを見せているくらいだ。”アルセイユ”が絡んでいる以上、慎重になっているのかもしれんが………それ以上に、放蕩皇子の取るに足らない見世物ごときと侮られている可能性が高いな。」
「ま、実際そうだしね〜。だが、例え見世物でもここから始めるしか道はない。ならばせいぜい華々しく踊らせてもらうだけのことさ。」
「……そうだな。」
今後の予定を話し終えたその時扉がノックされた。
「―――皇子殿下。夜分遅くに失礼いたします。帝都からの連絡が届いたのですが、いかがいたしましょうか?」
「そうか………わかった、入ってきたまえ。」
「……失礼します。」
オリビエの返事を聞いた声の主――スーツ姿の赤毛の青年が部屋に入って来た。
「やあ、レクター。今日は姿を見なかったからどうしたのかと思ったよ。」
「それが朝から色々と連絡業務が続きまして。明日、お発ちになってしまうのに挨拶にも伺うことができずに本当にもうしわけありませんでした。」
オリビエに訊ねられた青年――レクター書記官は静かな表情で答えた。
「フッ、気にすることはないさ。……しかしそうだな。何だったらこのまま朝まで3人でしっぽりと………」
「それで書記官、帝都からは一体なんと?」
オリビエがいつもの調子で話し始めたがミュラー少佐が無視してレクター書記官に訊ねた。
「皇子殿下からのご下達、確かに承りましたとの事です。ただ、王都から帝都まで半日足らずで到着できるとは想定していなかったらしく………今、慌てて明日の式典の準備をしているようですね。」
「なるほど。さすがに”アルセイユ”の速度は常識外か。
「シクシク……ま、それはともかく何とか舞台は整いそうだな。フフ、せいぜい明日は皆の度胆を抜くような衣装を用意するとしようか。白い褌一丁に、ギラギラ光るスパンコールのコートだけとか。」
ミュラー少佐に無視された事にオリビエは嘘泣きをした後、楽しそうな表情で答えた。
「………
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