外伝〜帝都への帰還〜前篇
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んな。ですが今回の件に関してはそうした殿下の柔軟な発想が良き結果をもたらしたのでしょう。これからの帝国には……まさに殿下のような方が必要になるのかもしれませんな。……宰相閣下のやり方とはまた別にして……」
笑顔で語るオリビエの話を聞いたダヴィル大使は苦笑した後ある人物を思い浮かべて重々しい様子を纏った。
「大使………」
「ほう、てっきり貴方は”鉄血宰相”殿の支持者かと思っていたのだが……やはり貴族たる身にとって宰相閣下の改革路線は反対かね?」
一方ダヴィル大使のある人物に対してあまりいい感情を持っていない事に気づいたミュラー少佐は静かな表情でダヴィル大使を見つめ、オリビエは目を丸くして訊ねた。
「はは、貴族とは言ってもしがない男爵位でしかありません。オズボーン閣下の改革路線も基本的には指示しておりますよ。ですが……私もいささかリベール(この国)に毒されすぎているようですな。たまに閣下の剛腕ぶりが怖くなることがあるのです。一体どこに……エレボニアという旧き帝国を連れて行こうとしているのかと。」
「……なるほどね。…………………」
「……殿下?」
自分の話を聞いて目を閉じて考え込んでいたオリビエが気になったダヴィル大使は不思議そうな表情で声をかけた。
「いや、最後にこのような有意義な話が出来て良かった。今後も諸国の平和のため、尽力してもらえるとありがたい。できればエルザ大使と協力してね。」
「はは……これは一本取られましたな。確かに、不戦条約以来クロスベル問題は具体的な進展を見せ始めているようです。提唱したのがリベールである以上、自分の役割は想像以上に大きい……つまりそういう事ですな?」
オリビエの皮肉ともとれる指摘に苦笑したダヴィル大使は真剣な表情でオリビエを見つめた。
「フッ、どうやら無用な心配だったようだね。これで心置きなく帝都に戻れるというものだ。」
「どうかお任せ下さい。わたくしも、今後の殿下のご活躍、楽しみにさせていただきますぞ。」
その後オリビエはミュラー少佐と共に退出して、自分が泊まっている部屋に戻った。
〜客室〜
「フフ……リベール恐るべしだね。まさか帝国貴族からあのような言葉が聞けるとは。」
「ああ、もう少し頑迷な御仁と思ったのだがな。確かにこの空気には人を変える力があるようだ。」
客室に戻ったオリビエとミュラー少佐はダヴィル大使の考えを変えたリベール王国に対して感心していた。
「フフ……そういう君こそ柔らかい表情をすることが多くなったじゃないか。少なからず影響を受けてしまったようだね。」
「フッ……いささか不本意ではあるがな。そういうお前の方はもう少しこの国の品位と節度を見習ってほしか
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