第6話 僕が招いた....
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間過ぎれば丸く収まる。その程度の喧嘩がいつものことだった。
だけど、今日はいつもと違う。それは凛の目つきを見ただけでわかる。今の凛の目つきは小学生の時に起こった”あの出来事”を受けた時の凛のソレそのものだった。
それだけ、彼女は今怒っているんだ。
僕が、そうさせたんだ。
「ごめんねかよちん。今日はもう帰るよ。明後日また学校でね」
「あ、凛ちゃん.....」
花陽が弱弱しげに声を絞り出すも、凛はそのまま背を向けて僕たちのもとから離れていった。
取り残された僕たちはしばらく凛の後姿を眺め、その姿が見えなくなったところで僕は盛大に溜息をつく。
どうしよう、どうやって凛に謝るべきなんだ。
「凛ちゃん、怒ってたね」
「.....僕は、”なにをやっているんだろう”」
「春人くん、凛ちゃんの気持ちをもっとわかってあげて?」
「わかってる、つもりだったんだね。今となっては凛ちゃんの気持ちがわからないよ」
ムズムズした感覚が僕の体の中を駆け巡る。それが僕にとって良いものなのか、悪いものなのか。
僕には理解できない。僕は......
「もちろん、私のことも、だよ」
「やっぱり花陽ちゃんも、怒ってる?」
「うん.....ちょっぴりね。でも怒ってるっていうか、悔しいかな」
「悔しい?なんで?」
「....なんでだろうね」
花陽は両手の人差し指をちょんと合わせながらごまかす。
だけど僕は知ってる。花陽が人差し指を合わせる時は決まって嘘をつく時か誤魔化す時の癖だということを。
花陽教えて?君は一体何を隠しているんだい?僕は何を知らなければならないの?
ムズムズムズムズムズムズ.......
奥底がずっと歯がゆい感じがしてそれが僕の罪悪感を煽っている。
「春人くんにとって...」
「え?なに」
「春人くんにとって、凛ちゃんっていう女の子はどういう存在なの?」
「どういうって...」
どうして花陽はそんな質問をしてくるのだろうか。言い方が悪くなるけど、その問いは『愚問』でしかないのに...
気が付けば僕たちはいつもの公園前に佇んでいた。僕はふと腕時計を見る。
神田明神から出て、まだ数十分しか経っていないことに気づき、その数十分で僕たちの”関係”は壊れかけてしまった。
「当然、僕の幼馴染で親友の...大切な人だよ」
嘘偽りは言ったつもりはない。
花陽や凛もそのことはわかってる。わかっているはず。
────だからこそ、花陽の今の表情が理解できない。
「それだけなの?」
「それだけって...うん。花陽ちゃんも凛ちゃんも僕にとって一番大切だから」
「────────これじ
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