第6話 僕が招いた....
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..」
神田明神を出てから数分、さっきの僕の言動にすっかりしびれを切らした凛は僕たちの前を不機嫌そうに、ズンズンと音を鳴らしながら歩いている。
こんなに怒っている彼女を見るのは久しぶりで、僕は花陽に視線を向ける。が、彼女もおとなしく僕の隣を歩いていて、僕の顔を見向きもしない。
そこまで僕が絢瀬先輩と会話しているのが嫌だったのかな?そうだとしたらそれだけで機嫌を損なわれるのは理不尽のような気がする。
「ねぇ凛ちゃん、どうしてそこまで怒るの?」
「うるさいにゃ!いつもいつも他の女の子を連れ回して!その時のりんやかよちんの気持ち考えたことあるの!?りん達が春くんのその様子を見てどう思ってたのか!!」
「え?.....」
いつになく凛の顔から『怒り』が感じ取られ、一歩僕は退く。その瞳から一滴の涙が零れ落ち、僕はこの瞬間『やってしまった』と後悔した。
小さな頃から心の中で決めていた”二人を絶対泣かせない”。それがたった今破られた。紛れもない僕自身の言葉で。
「か、考えていたよ。でも僕は───」
「僕は、なに?他の女の子には興味がないけど嫌われるのが嫌だから愛想よく振る舞っているって言いたいのかにゃ!!そんなの許せないよ!”自己満足”だよ!!」
図星を言われ、思わず目を逸らす。
「もしかして春くん、『りん達を一番に大切に想っている』って昔言ってた言葉は全部嘘だったのかにゃ?」
「っ!?そ、そんなことないよ!僕はいつだって凛ちゃんや花陽ちゃんのことを───」
そこまで言って僕は押し黙る。そして思い出した。
......僕がさっき絢瀬先輩に対して考えたことを。今思えば確かに自分らしくなかった。絢瀬先輩の一つ一つの仕草や言葉に完全に魅入り、二人のことを間違いなく蚊帳の外に出していた。凛は多分それに対して怒っているんだろう。
だから凛は僕を信用できないんだ。
「今の春くんは信用できない!!今の春くんは大っ嫌い!!!!!」
「ちょ、ちょっと凛ちゃん。それは言い過ぎだよ。春人くん可哀想だよ!」
「かよちんはなんで春くんのことを庇うの!!かよちんは嫌じゃないの!?あんな春くんを見せられて、辛くないの?!」
「そ、それは.....」
凛の問いに答えられない花陽。花陽も、凛と同じ考えを持っていたのだろうか。俯きながらも何か言いたそうに凛を見て、でも僕のことを気にしているのかチラリと目を合わせた後やっぱり口を閉じたまま何も喋らない。
僕たちの関係に亀裂が入ったように感じた。
僕たちにも喧嘩、というものはある。それは決まって大事になるような喧嘩ではない。ラーメンが至高か、それともご飯が至高か。そしてその喧嘩は小一時
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