第22話 真のサムライ?
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ッテが尊敬している男など、手の指の数ほどしかいない。
故に、異国の初めて会った男に油断や慢心をしてしまうのが彼女の短所なのだが、その決めつけは何時も当たっていたので問題にはならなかったのだ。今までは。
今までにない現実に憤りを見せるマルギッテだが、士郎から当てられる殺気は尋常では無い程の濃密さで、ただただ戦慄するしかなかった。
しかし士郎は、マルギッテを戦慄させたまま話を続ける。
「フリードリヒ中将殿も、娘さんであるクリスティアーネ嬢も、日本の何所に憧れて来たのかは知りませんが、その内の一つはサムライであると聞いていますので言わせて頂きますが、中将殿が興味関心を持ったサムライと言うのは一見紳士な対応に見せかけて、自分のエゴだけを押し通して部下の行動も諫めず気持ちを込めない謝罪をする存在なのですか?」
「む」
「と、父様・・・」
クリスはマルギッテの事とは別に困惑していた。
正直自分の尊敬する父に、反論してくる士郎に僅かな反感を感じたが、説明を聞き終えてから感心しきってしまった自分を見つけたのだ。
だが、尊敬する父にそれを強要する事も出来ないクリスは、何も言えないでいた。
そして娘の気持ちを知ってか知らずか、フランクは愛娘であるクリスの身を心配し過ぎて、少しばかりか身勝手に振る舞っていた事を自覚し、反省する。
「・・・・・・いや、確かに君の言う通りだ。私は如何やら、少々自己中心的になっていた様だ。改めて謝罪させてもらおう諸君、部下の行動も含めてすまなかった。全ては指揮官たる私の責任だ」
「と、父様・・・!」
先程とは違い、軽い礼では無く深々とした謝罪に軽く呆れと憤りを心に秘めていた何人かは、これを治める。
士郎の説明の後と前では違いすぎる反応に、若干気後れする程だった。
そして素直に反省し、謝罪する父の姿に流石は父様だな感心するクリス。大げさな言葉で言えば感動していた。
その謝罪が本心からだと理解した士郎は、マルギッテへの殺気を治める。
「クッ、ハァ、ハァ・・・」
殺気の拘束から外れたマルギッテは肩で息をする。
正直自分をこんな風にした上で、第二の父親の様な存在足るフランクに頭を下げさせた士郎に噛みつきたい気持ちに駆られるが、それではさらにフランクに恥の上塗りをさせてしまうので、堪えた。
だが何より本能で理解してしまったのだ。
今の自分ではこの男に勝てないと。
故にマルギッテは雪辱を誓った。
(いずれこの借りは必ず返します・・・!)
そんな自分の失態をまるで自覚していないマルギッテを他所に、フランクは士郎に向き直る。
「そして君にも謝罪と共に礼を言わねばなるまい。危うく私は大人として、1人の親として、娘に誤った理想像を自分の行
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