第13話
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違うわよう。身分違いの恋をテーマにしたラブロマンスじゃないの。」
エステルに本の事を尋ねられたクラムとマリィはそれぞれの視点で感じた事をエステルに説明した。
「リベールに来る時に持ってきた青少年向け(ジュヴナイル)小説なんやけどな……。ちょっとずつ読んで聞かせようと思っとったのにいきなり全巻読んでしもたわ……」
「あはは。ノリがいいのが仇になったわね。」
疲労感を隠せず、溜息を吐いているケビンを見て、エステルは苦笑した。
「うふふ。本当にお疲れさまでした。神父様はこれからルーアンにお戻りになるの?」
「ええ、まあそうですね。他にも回るところがあるからすぐに飛行船に飛び乗ることになるとは思いますけど。そういや、エステルちゃんとミントちゃんはどうしてルーアン地方におるん?やっぱ、遊撃士のお仕事でか?」
テレサに答えたケビンは何故エステル達がルーアンにいるのかを尋ねた。
「うん、まあ色々あってね。そうだ、あたしたちは聞きたいことがあって孤児院にきたんだけど……」
「ポーリィが見たという『白いオジチャン』の話ですね?」
エステルの言葉を聞いたテレサは確認した。
「あー、その話かぁ。」
「んー?ポーリィがどうしたの?」
「えっと、ポーリィちゃんに聞きたいことがあるんだけど……。『白いオジチャン』のこと詳しく聞かせてもらえないかなぁ?」
「ねえねえ、ポーリィ。どんな人を見たの?」
無邪気な女の子――ポーリィにエステルとミントは尋ねた。
「白いオジチャンは白いオジチャンなの。くるくる回っていてとっても楽しそうだったのー。」
「うーん……困ったわねぇ。」
「もうちょっと………何かないかな?」
ポーリィの答えを聞いたエステルは困り、ミントは尋ねた。
「えっと、あたしから説明させてもらいますね。」
エステル達の様子を見たマリィがポーリィの代わりに話し始めた。
「あれは4日前くらいかな……。この子、夕食のあと外に出てぼーっとしてたんです。そしたら空に、白い男の人が浮かんでいるのを見たらしくて。」
「そうなのー。楽しそうに飛び跳ねながらお空でくるくる踊ってたのー。で、ポーリィが話しかけたらペコリとお辞儀をして飛び去って行っちゃったのー。」
マリィの言葉に頷いたポーリィは無邪気に答えた。
「ぜってー、寝ぼけてただけだって。だってユーレイにしちゃ全然怖くないじゃん、そんなの。」
「私も最初そう思ったんですがダニエルも見ていたらしくて。ね、ダニエル?」
クラムの言葉に頷いたテレサは男の子――ダニエルに尋ねた。
「うん。ボクはちょっとだけど。白いヘンな影が、東のほうにびゅーんって飛んでいったんだ。」
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