5部分:第五章
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「わかればいいから」
二人もそこまで言うつもりはなかった。笑顔で謝罪は受け入れた。
「それはね。これで終わり」
「それでいいかな」
「はあ」
「何て言いますか」
「それじゃあさ」
「サインだよね」
そしてあらためてサインの話に入った。
「何処にサインして欲しいのかな」
「そこの色紙?」
「色紙とですね」
晶子が焦ったようにして二人に応える。
「あの、今着ているティーシャツにも」
「私もです」
朋子もまた少し焦った感じで言ってきた。
「私も。同じで」
「そう。それじゃあ二人共色紙とティーシャツだね」
「両方にだね」
「御願いします」
「宜しければ」
必死の声と顔で二人に言う。最早嘆願だった。
「是非共両方に」
「図々しいけれど」
「まあそこまでは言わないけれどね」
「それじゃあ」
また苦笑いになる二人だった。しかしそれでも懐からサインペンを出してきた。黒いサインペンである。
「まずは僕からかな」
「は、はい」
「ここに」
晶子と朋子はわざわざティーシャツを拡げ色紙を出して藤井さんに応えた。
「どうか」
「宜しくです」
「わかったよ。じゃあまずは僕で」
「次は僕だね」
脇坂さんも既にサインペンのキャップを抜いていた。何時でも書けるようにスタンバイしているということだ。その辺りの動作が実に馴れたものであった。
「いいね」
「ええ。それで」
「是非」
こうして晶子と朋子は二人のサインを受け取った。結果は喜ぶべきものであった。しかしそれまでの騒動は。どうにもこうにもドタバタとした。爽やかな結果の後だからこそ言えることであった。
どっちが誰だか 完
2008・10・13
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