第10話
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ようとした。
「エルザ大使もここはお引き取り下さい。この話は、いずれ別の機会に双方の大使館ですればよいかと。」
「……そうですわね。エレボニア軍人に指図されるのはあまり愉快ではありませんけど。尊大で性根の腐ったエレボニア貴族よりは遥かにマシですわ。」
「な、なんだと!?」
同じくミュラーに諌められ、冷静になったエルザの言葉を聞いたダヴィルはまた怒鳴った。
「それでは御機嫌よう。皆さん、失礼いたしますわ。」
そしてエルザは待合室を出て行った。
「な、なんという失礼な女だ。これだから歴史も伝統もない成り上がりの庶民どもは……」
「大使……」
「……フン、判っている。私は先に大使館に戻る。例の件については君に任せたぞ。」
「了解しました。」
そしてダヴィルも待合室を出て行き、ダヴィルとすれ違ったエステル達はミュラーに話しかけた。
「どうも、こんにちは。」
「こんにちは!」
「君は……。確かエステル君にミント君だったか。久しぶりだ。武術大会の時以来になるか。」
「よかった。覚えていてくれてたんだ。それにしても……すごい言い争いだったわねぇ。今の人たち、どちらさまなの?」
「男性の方はエレボニア帝国のダウィル大使。女性の方はカルバード共和国のエルザ大使。どちらも王都にある大使館の責任者にあたる立場だ。」
「そ、そうだったんだ。」
「ふえ〜……なんだかよくわかんないけど、凄く偉そうな人達なんだね。」
ミュラーから言い争っていた人物の事を聞いたエステルやミントは驚いた。
「しかし、大使というのは大人気ない口論だったな。あんなもんで務まるのか?」
「ちょ、ちょっとアガット。」
呆れて無礼な事を言うアガットにエステルはミュラーを気にしながら慌てた。
「いや、面目ない。元々、エレボニアとカルバードは友好的な関係とは言えなくてね。さらにあの2人は、性格的にも徹底的にウマが合わないらしい。まあ、顔を合わせるたびに口論ばかりしているというのは逆に気が合う証拠かもしれないが。」
一方ミュラーは目を伏せてダヴィル達の言い争いの件を謝り、事情を説明した。
「あはは、そうかもしれないわね。それにしても……気になること言ってなかった?エンジン供給とか内政干渉とか。」
「………………………………」
エステルが口にした言葉を聞くとミュラーは真剣な表情で黙った。
「ミュラーさん?」
「あ、聞いたらマズかった?」
ミュラーの様子を見たミントは首を傾げ、エステルは尋ねた。
「……いや、構わないだろう。エンジンとは、中央工房が現在開発している最新鋭のものでね。完成の暁には、飛行船公社を通じてエレボニアと
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