2部分:第二章
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のだった。
「やっぱりな。これはそうでもしないとな」
「まあそうでもないと治らないわよね」
幹枝も康友の言葉に頷いた。
「手術するなり何なりしてね」
「そうだよな。やっぱり」
「それにしても」
困惑したままの夫の顔を見るのも少し飽きてきたので胸を見る。見れば見る程大きくしかも形が非常にいい。女の幹枝から見てもそう思わせる胸だった。
「いい胸ね」
「そうか?」
「そうよ。私も胸には自慢があるけれどね」
その豊かで張りのある胸は彼女の自慢の一つなのだ。ところがこともあろうに夫がその自分より見事な胸を持ってしまった。男がだ。それでどう言っていいのかさえわかりかねていたのである。
「それでも。これは」
「ないっていうのか?」
「その通りよ。何よ」
溜息さえつくのだった。
「こんなのって。ないでしょ」
「けれど俺は困ってるんだ」
相変わらず困惑した様子を見せる。
「急にこんな胸をもらってな」
「まあ困るのはわかるわ」
自分も下に急に夫と同じものができれば、と思うとわかることだった。これで困惑しない方がおかしい話だ。
「それでもよ」
「それでも。何だ?」
「やっぱり手術するのよね」
「ああ」
妻の言葉にはっきりとした顔で頷いてきた。
「そのつもりだよ。こんなのそのままにしておいたら」
そうよね。やっぱり」
あらためて夫の言葉に納得するのだった。
「それはね」
「だからどうしたんだ?俺が手術したら嫌なのか?」
「別に。ただ」
しかしそうは言いながらも顔は笑っている。くすりとしたものになっていた。
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