第1話
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〜上空・定期船セシリア号〜
(僕のエステル……お日様みたいに眩しかった君。君と一緒にいて幸せだったけど、同時に、とても苦しかった……。明るい光が濃い影を作るように……。君と一緒にいればいるほど僕は、自分の忌まわしい本性を思い知らされるようになったから……。だから、出会わなければよかったと思ったこともあった。)
「………………………………。あたし……ヨシュアのこと気付けてたの?出会わなければよかったって……。……あたし……」
エステルはヨシュアの言葉を思い出し、今にも泣きそうな表情をしていた。
「アカン、アカンな〜。」
そこに一人の青年がエステルに声をかけた。
「……?」
青年の声に首を傾げたエステルは振り向いた。エステルが振り向くとそこには七曜教会の神父の服装でいる青年がいた。
「澄みきった青空!そして頬に心地よい風!そんな中で、キミみたいな可愛い子が元気なさそうな顔をしとったらアカンよ。女神さまもガッカリするで、ホンマ。」
「えっと……」
青年の言葉にエステルは戸惑った。
「あ、ちゃうで?けっして怪しいモンとちゃうよ?ただ、乗船した時からキミのことが妙に気になってなぁ。なんか元気ないみたいやからオレの素敵トークで笑顔にしたろと、まあ、そんな風に思ったわけや。」
「………………………………。えっと……よく判らないけど、ありがと。」
青年の説明がイマイチ理解できなかったエステルだが、一応お礼を言った。
「まあ、ぶっちゃけナンパしとるんやけどね。どや、暇やったら下の展望台にでも付き合わん?ドリンク注文できるみたいやからお近づきの印に奢らせてもらうわ。」
「あ、あの……気持ちはありがたいんだけど……あんまり気分じゃなくて……。……ごめんなさい……」
「んー、そっか。それじゃあ、ナンパは止めて本業に切り換えた方がいいかな?迷える子羊導くのもお仕事やし。」
「本業……?」
ナンパが失敗したにも関わらず、あまりショックを受けていない様子の青年の言葉にエステルは首を傾げた。
「フフン、これや。」
首を傾げているエステルに青年は胸を張った後、自慢げに杯が描かれたペンダントを突き出した。
「え、それって……たしか七耀教会の……」
「ビンゴ。『星杯の紋章』や。オレはケビン・グラハム。これでも七耀教会の神父やねん。」
「へー、そうなんだ……って、冗談でしょ?」
青年――ケビンの言葉に頷きかけたエステルだったが、先ほどのケビンのナンパを思い出し、信じられなかった。
「なんでぇ?オレ、めっちゃ真面目な神父さんやで?3度の祈りは欠かしたことないし、聖典もほら、肌身離さず持
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