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第一章
おっぱい
如月幹枝は最近夫の康友が不思議でならなかった。どうにも態度がよそよそしいのだ。着替えるのもいつも一人でお風呂もいつも一人だ。夜寝るのも一人であっちの方も完全に御無沙汰となっていた。
「ねえあなた」
髪をとかして大きな目でのメイクをあえて色気を漂わせて。そのうえで赤い露出の多い下着を着て夫に迫っても。返事はけんもほろろだった。
「いや、いいよ」
「いいって最近ずっとじゃない」
「ずっとでもいいんだよ」
そう言って自分の部屋に篭ってしまうのだった。自分の部屋にベッドを持ち込んでそこに入るのだった。
「それでもね」
「いいって。子供欲しくないの?」
「欲しいことは欲しいさ」
そう言っても妻を振り向こうとはしない。自分の部屋に顔を向けているだけだ。
「それでも。いいんだ」
「浮気するわよ」
「するならすればいいさ」
夫とは思えない言葉だった。
「それでも・・・・・・今は」
こう言って自分の部屋に消えるのだった。妻につれない。幹枝はそれを見て彼が浮気をしているのではと思ったがそれはどうも違うようだった。探偵を密かに雇って調べてみたがその結果はシロだった。
「そういうことはありませんでした」
「ないの」
「はい」
その探偵は自分の事務所に来た彼女に対して答える。
「それどころか女性に関する場所は意図的に避けているように思えます」
「意図的にですか」
「そうです」
彼はさらに言う。
「それだけでなく男性も避けています」
「男性も!?」
「実はですね」
探偵は首をしきりに捻りながら彼女に答える。無機質で事務的な部屋の中で話を続けるのだった。
「私は密かに御主人が同性愛者ではないかと思ったのです」
「同性愛者ですか」
「女性を一切近付けないのですよね」
彼が言うのはそこだった。首を捻りながらコーヒーを口に含む。
「確か」
「ええ、そうです」
幹枝もその問いに答える。それは自分が一番知っていることだった。
「ですから」
「それで私もそれを考えてそちらも見てみたのです」
ここで探偵は紅茶を飲む。幹枝には彼女から希望を聞いてコーヒーにした。クリープと砂糖をかなり入れたコーヒーだ。その二つのせいか見れば彼女の胸はかなり大きい。胸は大きいがウエストは締まり尻は大きい。肉感的な身体をしていてしかも顔は童顔だ。実は探偵はそんな彼女を見てどうして康友が彼女を放ったままにしているのか不思議に思っていた。
「ですが」
「そちらもありませんでした」
こう答えるのだった。
「何も。そうした場所にも通わずそれと思われる交際も」
「なかったのですね」
「はい」
はっきりと幹枝に答えるのだった。
「私にもそれはわかりま
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