第97話
[4/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いていなかったようだね。物質的、もしくは精神的な破滅を避けるために人は進化するしか……」
エステルが自分の話を理解していないと思ったワイスマンは再度説明をしようとしたが
「そんな話をしてるんじゃないわ。あたしが言いたいのは……そんなご大層な存在になる前に出来る事があるんじゃないかってこと。」
「………………………………」
エステルの正論ともいえる指摘を聞くと黙り込んだ。
「ヨシュアも言ってたけど……あたしたちは無力な存在じゃない。今回の異変にしたって、みんな最初は戸惑いながらも次第に協力して前に進もうとしていた。王国各地を巡って……あたしはそれをこの目で確かめた。別に進化しなくたって何とかやっていけると思わない?」
「……群れて生き延びるのは獣や虫ですらやっていることだ。その程度の行動をもって君は人の可能性を語るつもりかね?」
「別に同じでもいいじゃない。あたしたちだって生き物であるのは確かなんだし。それが生きているってことの強さなんじゃないかな?」
「なに……?」
「もちろん人は……それだけの存在じゃないと思う。そうした命の輝きを原動力に自分らしく生きて行こうとする……そんな存在だと思うの。でも、それはあんたの言うような万能超人である必要なんかなくて……みんなが、ちょっとした思いやりでお互い助け合うだけでいいんだと思う。」
「………………………………………」
「多分……”輝く環”を封印した人たちも同じ考えだったんじゃないかな?奇蹟に頼りきっちゃうことも良くないことかもしれないけど……それ以上に、人と人がお互い助け合う余地がなくなることが何よりも良くないことだって……」
「エステル……」
「フフッ………その指摘……かなり的を得ていると思うよ?」
「人は、人の間にあってこそ真に人として立つことができる……エステルの言う通りね。」
「ああ……人は決して一人では生きていけないしな。」
ワイスマンの主張を粉々に破壊するエステルの正論を聞いたアガットとレイスは口元に笑みを浮かべ、アーシアの言葉にルークは静かな表情で頷いた。
「クク……何を言うかと思えば助け合いか……。そのような事は、歴史を振り返ってから言いたまえ。例えば幾度となく繰り返されてきた戦争という名の巨大なシステム……。その狭間において、人の絆は無力な存在でしかなかっただろう?」
「―――そんなこと、ない!」
一方ワイスマンはエステルの正論を嘲笑したが、エステルは大声で否定した!
「お母さんは戦火の中、命がけであたしを守ってくれた!その事がきっかけで、あたしは遊撃士の道を志してそして今……ここに立っている!この異変を止めて戦火を未然に防ぐために!それで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ