第97話
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もねぇ話だぜ。」
「空の女神は一体何を考えて”至宝”を人に与えたのだ……?」
「……ある意味預言と似ているな……」
ワイスマンの口から語られた歴史に隠された真実を知ったエステルは呆け、アーシアとアガットは信じられない表情をし、レイスは真剣な表情で考え込み、ルークは複雑そうな表情をした。
「確かに、王家の始祖たちは良くやったと言ってもいいだろう。―――しかし、考えてもみたまえ。その代償として、人は混沌の大地へと放り出され一からやり直すことになったのだ。そして今も、覇権を巡って飽くなき闘争を繰り返している……。果たしてそれは正しい選択だったのだろうか?」
「………それは………………」
「そして一方で人はオーブメントという技術を手に入れ、再び豊かな生活を享受し始めている。だが、今のままでは行き着く先は2つしかあり得ない。飽くなき快楽を求め、自ら律することも叶わぬまま世界を巻き込み滅びてゆくか……。もしくは古代人のように全てをシステムの管理に委ねることで家畜のような生を続けてゆくか……。物質的な破滅か、精神的な破滅か、どちらかしかあり得ないのだよ。」
「………………………………」
「それを防ぐためには、人自身が進化するしか道はない。―――いかなる誘惑、逆境にも揺らぐことのない絶対の理性!感情に囚われることなく、正しい答えを出せる究極の知性!その両者を兼ね備えた段階に人という種を導いてやること……。まさにそれこそが『福音計画』の最終目的なのだ!」
「随分と大きく出たものだね……」
「あなた……本気なの……」
「……どうかしてるぜ……」
「お前、まさか自分が神にでもなったつもりなのか……?」
ワイスマンの説明を聞いたレイスとアーシアは厳しい表情でワイスマンを睨み、アガットとルークは呆れた表情でワイスマンを見つめていた。
「クク……そんな誇大妄想狂をみるような目で見ないでくれたまえ。人は想像を絶する事物に直面した時、畏れとともに変革を余儀なくされる生き物だ。その意味で”輝く環”はまさに格好の存在と言えるだろう。私はこの巨いなる至宝をもって人を正しい進化に導いて見せる……。それこそが”盟主”より授かった”使徒”としての使命なのだ!」
「はあ……。正直、余計なお世話なんですけど。」
「………………………………」
高々と説明をしていたワイスマンだったが、溜息を吐いた後ジト目になったエステルの指摘を聞いて驚き、呆けた表情でエステルを見つめた。
「―――いかなる誘惑、逆境にも揺らぐことのない絶対の理性?感情に囚われることなく、正しい答えを出せる究極の知性?そんなものにどんな価値があるっていうの?」
「……君は人の話を聞
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