第97話
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とはない。ここに辿り着けた時点で君たちには資格が与えられた。後は正しい選択をするだけだ。」
「……資格……選択……。それって……どういうことなの?」
「フフ、君たちはどの程度知っているのかな?―――この”輝く環”を巡って1200年前に何が起きたのかを……」
「あ……」
「やはりそれが”輝く環”なのか……」
ワイスマンの話を聞いたエステルはワイスマンの背後にある金色の輪に気付いて声をあげ、レイスは真剣な表情で呟いた。
「その通り……。無限の力を生み出し、奇蹟へと変換することのできる究極のアーティファクトの1つだ!しかし、古代人は1200年前、この大いなる至宝を封じてしまった!一体、どうしてだと思う?」
「く、詳しいことは分からないけど……。人や社会の在り方が悪い方向に変化したからだって裏の塔の記録には残されていたわ。」
「ほう、あれを解析したのか。フフ……ならば話は早い。その真相を君たちに教授しよう。」
エステルの話を聞いたワイスマンは感心した後、得意げな様子で説明を始めた。
「―――数千年前。女神は人に”七の至宝”を授けた。それらは『世界の可能性』をそれぞれ異なる方法で利用することで奇蹟を起こすアーティファクトだった。そして至宝ごとに七派に分かれた古代人たちは様々な形で『理想』を追い求めた。
その一つこそが、”輝く環”を中心に建造されたこの実験都市、”リベル=アーク”だ。汎用端末の”ゴスペル”を通じてあらゆる願いが”環”に叶えられる人の手によって築かれた空の楽園……。
そこで人は、一切の争いのない豊かな生活を享受できるはずだった。しかし人は”ゴスペル”を通じて”輝く環”がもたらす人工的な幸福に次第に魂を呑み込まれていった。物質的快楽はもちろん、”環”が構築する夢―――仮想現実に精神的な充足すら見出してしまったのだ。
……そして人は麻薬のように奇蹟に依存することで破滅への道を歩き始めてしまった。倫理と向上心を失い、精神的に失調してゆく市民たち……。出生率が低下する一方、自殺・異常犯罪は増加し続け、社会全体が緩慢な死に向かい始めた。しかし”環”は我関せず、求められるまま奇蹟を与えてしまう。
そうして空に築かれた楽園は、虚ろで醜悪な培養槽と化していった。リベール王家の始祖たちが”環”を封印する計画を立てたのはそうした背景があってのことだ。”環”が妨害のために放った”守護者”に苦しめられながらも封印区画とデバイスタワーを建造し……そして遂に、”環”は浮遊都市ごと異次元に封印されることとなった。」
「それが……1200年前に起こった事……」
「まさか………そんな事があったなんて………」
「……とんで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ