第96話
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せ、ルークは絶句し、アガットとレイス、アーシアは怒りの表情でワイスマンを睨んだ。
「ヨシュア……嘘だよね……。ねえ……こっちに戻って来てよ……」
「………………………………」
悲痛そうな表情で尋ねるエステルの言葉にヨシュアは何も返さず、感情のない目でエステルを睨んでいた。
「お願いだから……そんな目をしないでよおおっ!」
「フフ、無駄なことは止めたまえ。かつて私は、壊れたヨシュアの心を修復するために”絶対暗示”による術式を組み込んだ。その時に刻んだ『聖痕』がいまだ彼の深層意識に眠っていてね。その影響力は大きく、働きかければたやすく身体制御を奪い取ってしまう。」
「……そんな…………」
「ああ、ちなみにヨシュアの肩にある紋章は刺青ではなくてね。私が埋め込んだ『聖痕』に対するヨシュアのイメージが現出したものだ。フフ……記憶が戻ったのと同時に現れたから彼もさぞかし不安に思っただろうね。」
「………………………………。……嘘、だったんだ。ヨシュアを散々苦しめた挙句に自由にしてやるって言っておいて……。それすらも……嘘だったんだ……」
「別に嘘は言っていないさ。君と共にヨシュアがこんな所まで来さえしなければ私もここまでしなかっただろう。クク……全ては君たちが選んだ道というわけだ。」
「っ……ふざけんじゃないわよ!あんたなんかにあたしたちの歩いてきた道をとやかく言われたくなんかない!ヨシュアを操ったからって今更へこんだりするもんですか!あんたなんかぶっ飛ばして絶対にヨシュアを取り戻すんだから!」
「フフ……そう来なくては。だが、私もこれから外せない大切な用事があってね。”根源区画”で待っているから是非とも訪ねてきてくれたまえ。」
ヨシュアを正気に戻す為にワイスマンと戦おうとしたエステル達だったが、ワイスマンは転移術を発動させてヨシュアと共にその場から消えた。
「ああっ……!」
「クッ……不味いな……どうすれば、”根源区画”って所に行けるんだ?」
ワイスマンとヨシュアが消えるのを見たエステルは悲痛そうな表情をし、ルークは二人の元に辿り着く方法を考え込んでいた。
「……奥にある……大型エレベーターを使え……」
その時倒れていたレーヴェが苦しそうな様子で答えた。
「レーヴェ……!よかった、無事だったんだ!奥にあるエレベーターって……」
「まさか……あの大きなプレート!?」
レーヴェが無事だった事にエステルが安堵している中、何かに気づいたアーシアがエレベーターと思われる大きなプレートを見つめて声を上げた。
「”環”が眠る”根源区画”に…………降りることができるはずだ……。急げ……もう時間がない……」
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