第91話
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「だからこそ師父はあんたとの仕合いを申し出た。無論、あんたの武術の姿勢を戒める意味もあっただろうし……未熟な俺に、武術の極みを見せてやるつもりでもあったのだろう。だが、何よりも師父が望んだものは……武術家としての生を一番弟子との戦いの中で全うしたいということだったんだ。」
「………………………………。……クク……なんだそりゃ……。そんな馬鹿な話が…………あるわけねえだろうが……。じゃあ何だ?俺は体よく利用されただけか?そうだとしたら……俺は……」
自身が師匠に望んだ”死合い”を師匠に利用された事を悟ったヴァルターは皮肉気に笑った。
「確かにそれは……身勝手な話なのかもしれん。だが、強さを極めるということは突き詰めれば利己的な行為なんだろう。それが、俺たち武術家に課せられた宿命といえるのかもしれない。だからこそ師父は……あえて己の身勝手さをさらけ出した。そうする事で、あんたや俺に武術の光と闇を指し示すために……」
「………………………………」
「……ヴァルター、構えろ。」
自分の推測を聞いて黙っているヴァルターに拳を構えたジンは静かな表情でヴァルターを見つめて促した。
「なに……?」
「師父とあんたから学び、遊撃士稼業の中で磨いてきた『泰斗』の全てをこの拳に乗せる。そして、修羅となり闇に堕ちた不甲斐ない兄弟子に活を入れてやる。多分それが、あんたの弟弟子として俺ができる最後の役目のはずだ。」
「………………………………。……ケッ…………ずいぶん吹くじゃねえか…………。だったら俺は、結社で磨いた秘技の全てを拳に込めてやる……。『泰斗』の全てを葬るためにな。」
ジンの説明を聞いたヴァルターは舌打ちをした後、拳を構え、そして
「………………………………」
「………………………………」
2人は身体全体に凄まじい闘気を纏って、睨み合った!
「はあああああああっ……!」
「こおおおおおおおっ……!」
2人がさらに気を練り始めると、空気が大きく震え
(す、すごい……)
(このままだと片方は……)
2人の様子をエステル達は驚きながらも見守っていた。
「おおおおおおおおっ!」
「らあああああああっ!」
そして2人の攻撃が同時に交差し
「………………………………」
「………………………………」
交差した2人はお互いを背を向けた状態で微動だにしなかった。
「…………くっ………………」
「あ……」
「ジ、ジンさん!?」
しかしジンが地面に膝をつくのを見たエステル達は声を上げた。
「ククク…………仕方ねえやつだ……」
一方ヴァルターはジン
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