プロローグ
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そんな……。そんなことって……」
「正直、得体の知れない連中だ。深入りするのは止めておけ。」
「………………………………。あは……意味が分からないんですけど……。それって……ヨシュアを放っておけってこと?」
カシウスの警告にエステルは放心した。
「………………………………」
放心している様子のエステルをカシウスは黙って見ていた。
「ねえ父さん!答えてよ!」
何も答えないカシウスに業を煮やしたエステルは怒った。
「いずれ……こうなる日が来ることは判っていた。5年前、ヨシュアが俺の養子になることを承諾した時。あいつは、ある事を俺に誓った。」
「ある事……?」
「自分という存在がお前や俺たちに迷惑をかけた時……結社という過去が何らかの形で自分に接触してきた時……俺たちの前から姿を消すとな。」
「………………………………。……なにそれ……お母さんはその事……知っているの?」
カシウスの話を聞いたエステルは固まり、尋ねた。
「………レナは知らん。余計な気苦労を負わせる訳にはいかなかったし、何よりヨシュアも望まなかった。」
「……………………」
カシウスの言葉をエステルは無意識に拳を握って、聞いていた。
「お前の気持ちも分かる。今まで家族として暮らしてきたんだ。簡単に割り切れるものでもないだろう。だがな……男には譲れない一線というものがある。だからお前もヨシュアの気持ちも分かって―――」
「……知ってたんだ。」
「なに?」
唐突に言いだしたエステルにカシウスは驚いた。
「ヨシュアが……いつかいつかあたし達の前から居なくなっちゃうかもしれないって……。……父さん……知ってたんだ……お母さんやあたしには内緒で……………」
「………………………………。……すまん…………」
いつもの太陽のような笑顔をなくし、口元だけ笑い無表情のエステルに言われたカシウスは目を伏せて謝った。
「父さんのバカ!」
目を伏せて謝るカシウスにエステルは涙を流して怒り、走り去った。そして走り去るエステルとすれ違ったシェラザードがカシウスに近付いた。
「先生……」
「シェラザード……。みっともない所を見られたな。」
「いえ……。………………………………」
「責めないのか、俺を?」
何も言って来ないシェラザードにカシウスは尋ねた。
「あたしも、それなりの事情があって先生のお世話になった身ですから……。先生とヨシュアの気持ちはどちらも分からなくはないんです。」
「そうか……そうだったな。」
「でも、1つだけ。女の立場から言わせてもらえれば、」
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