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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン47 鉄砲水と分岐の英雄
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したけれど、もう遅い。勢い良く飛び上がり、全体重に加えその落下速度も合わせて鉄板の上に着地。みしみしといやな音が足元から聞こえ、次の瞬間立っているはずの地面に急に喪失感が広がった。あ、これは……と思ったところで、首根っこを強烈な握力で引っ掴まれる。制服のせいで首が締まる格好になり息が止まりながらも、どうにかそのまま真下に落下することだけは防がれた。

「床から光が漏れてるんだ、下にある程度空間があるに決まってるだろう!そんなところで確認もせずに踏み抜いたら、下手すると命に係わるぞ!?」
「むー!むーっ!」

 片腕で僕を釣り上げながらお説教が始まったので、首を指さしてさしあたりの危機をどうにか伝える。どうにか降ろしてもらったところで、今開いたばかりの大穴を改めて覗き込んだ。

「うっわぁ……何これ」

 レンガの下に敷かれていた鉄板……その下には通路があり、当然その底には床があった。どこに繋がっているかはわからないけれど、少なくともここから出ることはできるだろう。そしてそんな景色を見た瞬間、なぜコブラが監視カメラを封じられてから結構経ったにもかかわらず未だ顔すら見せに来ず余裕ぶっこいてるのかがよくわかった。いやまあ、こっちに来ないことについては十代達が今何かしててそっちの対応に追われてるのかもしれないけど。
 結論から言うとこの通路、高さが見た感じ軽く20メートルはある。大きな通路、なんてレベルではない。この高さから飛び降りたってダークシグナーの体を支えるために無駄に頑丈になった骨が折れるなんてことはないだろうけど、それでも着地をミスって捻挫のひとつくらいはしかねない。

「なんかいいもんないの?さっきみたいなさ」
「そうだな……待て、誰か来た」

 小声で注意し、通路の片側を指さすオブライエン。数秒後、そちらの方向からなんと十代達が走ってきた。ヨハンが剣山に肩を貸してもらってるところを見ると、恐らくデスデュエルがどこかであったのだろう。それだけでなくよく見ると、十代の足元も若干ふらついているように見える。全員の顔にはなぜか焦りの色が見え、少しでも早く通路のもう一方の端にたどり着こうとしているかのようだ。
 ガコン。
 突然研究所全体が揺れ、何か巨大なものが動く音がする。十代達が走り抜けようとするその先の通路が、上から降りてきた防火扉によってゆっくりと狭まりつつある。あれだけ分厚いと、一度閉まりきったらどうにかするのは極めて難しいだろう。なるほど、だからあれだけ焦ってるのか。おそらくはあの向こうにコブラが……そして、あの十代を呼ぶ謎の声の主がいるのだろう。

「なんて言ってる……!」
「場合じゃない、な!」

 状況はまだよくわからないけど、とにかくこの通路を通り抜ける必要があるのだろう。だけど、彼らの位置と防火扉
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