ターン47 鉄砲水と分岐の英雄
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「あ、痛てててて……」
目が覚めたときに真っ先に感じたのは、後頭部に感じる冷たい硬さだった。痛む体に顔をしかめながらもどうにか身を起こすと、最期に見た景色とは随分様子が違う。入口どころか窓もない、床といい壁といい一面レンガ張りの……まるで、井戸か何かの底にでも閉じ込められたような格好だ。そして暗いその部屋の中には、もう1つ仏頂面が見えた。
「オブライエン?何してんのこんなとこで」
「それはこっちのセリフだ。なぜおまえがここにいるんだ?」
「なぜ、って……えっと、話せば長くなるよ?」
「構わないさ。どうせもうしばらくは、俺たちを監視しているコブラを油断させるために大人しくしているつもりだったからな。それに、俺がここに閉じ込められてからの間に何があったのかも知っておきたい」
「コブラの監視?それに、ここに閉じ込められてたって……」
「なるべく顔を動かさず、目だけで確認してみろ。監視カメラはあの位置だ」
言われたとおりに目だけを動かしてちらりとオブライエンの言う方向を見ると、確かに監視カメラが1台、広いわけでもないこの竪穴の中にいる僕たちの方を向いていた。まじまじと見つめるわけにはいかないから確証は持てないけど、多分あれも外に仕掛けてあったものと同じ品だろう。
「えっと、どっから話そうかな。実は……」
少し迷ったけど、最終的に洗いざらい全部話すことにした。どうせ見た感じ出口も何もあったもんじゃないこの狭い部屋で隠し事をしたところでオブライエン相手にはすぐばれるだろうし。アモンの開催したデスデュエル大会と、その結果出てきてしまった大量の衰弱者。島を飛び回る怪電波と、その発生源がこの研究所にあること。僕が見た夢についてはさすがに言ったところで通じるわけがないので伏せておいたけど、それ以外のことはだいたい明かしておいた。
そんなこんなで、結構時間がかかったものの僕が知る限りのほぼ全てを聞き終えたオブライエンが、ふう、と息をつく。
「……なるほどな。先に言っておくが、俺もコブラの狙いがどこにあるのかは知らん。だから俺を問いただしても、何も吐くような情報はない。所詮は使い捨ての傭兵、というわけだ」
そう言って自嘲気味に口の端を歪めて笑い、すぐに真剣な表情に戻る。
「だが、いずれにせよコブラと敵対するという点では俺たちの狙いは同じ。ここから脱出するために、お前にも協力してもらうぞ。まずは……そら!」
いきなり立ち上がったオブライエンがズボンから何か金具のようなものを取り出し、先ほど自分が示した監視カメラめがけて投げつける。正確なコントロールで飛んで行ったそれが、カメラのレンズを一発で叩き割った。
「これで、向こうからこちらは見えなくなった。恐らくあの男のことだ、どうせ何をしても無駄だと高をくく
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