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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
外伝 憂鬱センチメンタル Part.2
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新商品を生み出すなどの戦略も望める。機能のヘルメスと加工のアルル、無敵の商業同盟も夢ではない。

 そして冒険者としてのメリット。ヴェルトールの冒険者としての技量はレベル5でないのが不思議なほどに高い。おまけに自律人形(レアリア)という彼固有の戦力も所持しており、『戦争遊戯』や小競り合いで必要な戦力の中でも、ヘルメス・アルル両ファミリアで実質最高位の大きな力だ。味方になれば頼もしいのは間違いない。

「ウチとしてはデメリットがないのよ、これ……いや本当に」
「いやいやいやいや!!お前本気で惚れていない男と結婚していいのか!?それで女として後悔しない!?お前さんその、美人だし……他にも好条件の男はいるだろ?」
「それなんですが……冷静に考えてみたら、貴方が求める条件に一番近いかなぁと」
「なん……だと……?」

 アスフィは物作りの天才だ。この街の頂点に君臨すると言ってもいい。そんな彼女としては魔道具を求めないバリバリの冒険者との結婚は馬が合いそうにないので乗り気ではない。逆に道具に頼りまくっているような男も嫌だ。みみっちい男、頭の悪い男、女をモノのように言う昔気質の男も当然論外。あと、自分より技量の劣る職人は死んでも御免だ。技術を盗みに来てますと言っているようなものだし、目に見える部分で自分より劣った職人を夫として認めるのはプライドが許さない。

 となると理想の相手は自分とある程度立場が釣り合い、職人としてアスフィが一目置くほどの男で、ついでに個人的趣味を付け加えるならちょっと世話が焼ける部分もあるくらいの存在………年齢も出来れば近い方が良くて、仕事にも理解があって、子供やモノを大切に出来る……。

「となるとホラ、粗方当て嵌まる男なんて貴方くらいしかいませんよ?」
「こ、子供っておい……」
「無論この子達です♪」
『ママー!(←懐柔されてる)』
『母上ー!(←懐柔されてる)』
「我が子のように抱っこすんなぁ!?」

 後で知ったことだが、アスフィは恋愛結婚どころか恋愛の類にあまり興味が無かったらしい。仕事大好き人間だったヴェルトールとしては何となく理解できる話だ。しかし生きている以上は子孫を残し後継を作るために最終的には結婚しなければならない……そんな事を考える彼女にとって、ヴェルトールという男は非常に絶妙な位置にいたようだ。
 人間、どうせ誰かと結婚しなければならないなら少しでも好みの物件に手を出したいもの。しかもアスフィが認めるレベルの職人でフリーかつ手出し公認の相手など、今回を逃せば何年後になるか分かったものではない。結婚に興味はなくとも婚期は逃したくない。

「私ではご不満ですか?これでも貴方には献身的に付き添ったつもりですが……?」
「友達としてじゃなかったっけ!?同じ職人として云々って言ってなか
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