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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
外伝 憂鬱センチメンタル Part.2
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囲が見えていないかのように窓に向かって叫ぶ。

「しかし今日という今日は引き下がりませんよ、ヴェルトール!ファミリア繁栄の為にも今日こそは観念してもらいますっ!!」

 アスフィは興奮気味に、それでいて怒っているというよりは追いかけっこの相手に声をかけるように明るく笑っていた。クールな顔立ちに見える彼女がその表情をすると、逆に可愛らしい印象を受けるのが不思議だ。
 しかしずっとここにいられるのも不味いし、万が一ヴェルトールを発見されて騒がれたらそれも面倒だ。そう思ったモップ装備のメイドがおずおずと声をかける。

「あのー、今は開店前でして……」
「私事でご迷惑をおかけしました!では、さらば!!」

 しゅっと手を挙げて断りを入れたアスフィは弾丸のような速度で店を飛び出し、そのまま遠くへと走り去ってしまった。嵐のような訪問から数十秒して、カウンターからにゅっとヴェルトールが顔を出して一つ溜息を吐く。

「な、なんとか乗り切ったか……ふぅ〜、アスフィにも困ったもんだ」
「モテモテですね、『人形師(マリオネティスタ)』のヴェルトール?貴方はどちらかというと借金取りにでも追いかけられているのが似合う男だと思っていましたが?」

 リューの言葉は周囲の思いを代弁するものだ。ヴェルトールは美人相手には見境なしにお近づきになろうとする。そんな彼があんな美人に。しかも明らかにヴェルトールの事を憎からず思っている女性から逃げ隠れするという選択を取っているのが分からなかった。

「確かにそうニャ。というわけで金渡すニャ。リシはトイチニャ」
「何が確かなんだよ、文脈繋がってねぇし人が借金してるみたいな言い方すんな!ったく、現金な子だねぇ。お金に煩い子は幸せな家庭を築けないってどっかの有名人が言ってたぜ?」
「どっかの有名人って誰ですか?」
「確か……『人形師』って冒険者だったかなぁ?」
「ニャるほど、要するにアテにならニャい言葉ニャのね……」

 ちょっと信用しそうになって損した……と言わんばかりのアーニャの手に、ヴェルトールはじゃらじゃらとチップを渡す。

「その有名人こうも言ってたぜ。女の子に貢ぐ金はケチるなってな。どうだアテになる言葉だろ!」
「ステキな名言ニャ!!そんな言葉を残してるんならさぞ素晴らしい賢者……いや神に匹敵する存在に違いニャいニャ!!全人類に広めるべき神の御言葉(ロゴス)ニャ!!」
(買収されてるし………)
(しっぽ超ウネウネしてるし……)
(餌付けされないか心配だわ……)

 ちょっと調子に乗りやすくて適度にバカなのが彼女のチャームポイントである。本人に言うと怒られるので誰も言わないけど。世の中には知らなくていい真実というものがあるのだ。

「それはそれとして……なんでヴェルトール様はア
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