第十六話 イタリカの戦い2
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王族の姫君でもいっても側室の子供であったので、扱いこそは王族待遇ではあったが王位継承権も一番低い位置にいるので王位継承する事はないと分かりきったアナが選んだ道は軍属であった。そもそもアナの母親は軍属の家系でもあったので、そこで少しでも自分が生きていく糧を得るために軍で生きていく事を決めたアナは、当初は現役の軍属の者たちから「女が軍に所属しなくても」と、王族の一種の英雄伝の憧れから訓練を受けており、直ぐに根を上げるだろうと判断したが、そんなブルーム王国の将軍達の度肝を抜く程の才能を、アナは示した。
剣や槍で、どれ程の屈強な男たちも叩きのめして、そして盗賊団が現れたら同等の数の兵士を率いて迅速に行動を起こして盗賊団達を壊滅させた。演習でも当初は軍を率いる事に慣れていなく老練な将軍達に負けはしたが、数回の演習で直ぐに千の兵士を率いても問題がない程の用兵を見せた。数をこなしていくつれてついには万の兵を率いる程になるほどに成長を遂げた。これには20歳にも満たずに、万の兵士を統率する事が可能となったアナには、ブルーム王国の将軍達は驚愕したという。
この異才とも言える程の才能を示したアナに、アナの父親であるダルト王は「もしアナが男で側室の子でなければ王位は継げただろう」と証した程であった。ブルーム王国は帝国の属国であるため、帝国が何かしら戦争を起こせば、ブルーム王国も帝国の援軍という形で軍を派遣する事もあり、そのため前線で戦う機会が多く、ブルーム王国の家臣達の中には軍人としての異才を見せつけたアナに王位を継がせるべきだと異議を唱える家臣も少なくなかった。
だが、それが原因で王位継が最も近い長男との関係に亀裂が走る。アナの長男であるバート自身は、特に絵に書いたような無能ではないが、アナのような異才を一つも持ち合わせていない。所謂平凡な人間である。特に問題を起こしている訳でもないので、王族の王位継承で争う事を避ける意味もあってバートの次期王として決定はしていたが、しかしアナのように突出した才能を持ち合わせていないバートは常にアナを厄介者扱いしていた。表にこそ出さないが、実際にアナも兄であるバートが自分を嫌っている事を自覚しており、ダルト王も余計な混乱を避ける為にバートを支持するようになり親子の間では冷めた関係となり、アナ自身は実際に王位に興味はないのだが、しかしそれでも武闘派の家臣達がアナの王位継承を支持している為に、それが余計にダルトとバートの神経を逆撫でしてしまい、余計に距離を置くようになったという。
「そんな事もあり、自分に対して親しくしてくれるのは年上の将軍達や下級兵士だったそうです。アナさんは大尉に対して自分に親しくしてくれた将軍や下級兵士達を重ねているので、歳の離れた兄ような感情を抱いていると思いますよ。」
「大尉を歳が離れた兄のよう
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