第四章
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「実はここの七日はです」
「何かありますか?」
「陸地では七百年経っているのです」
「えっ、七百年っていいますと」
「ここと陸地では時の流れが違いまして」
それでというのです。
「そうなっているのです」
「そうなのですか」
「このことをお話するのは酷だと思いしていませんでしたが」
「それでもですか」
「それだけ経っています」
「では私達が戻っても」
「お二人を知っている方はいません」
陸地にはというのです。
「親子が急にいなくなったとしかです」
「思われていませんか」
「七百年後の人達に」
「それでは戻っても」
太郎は乙姫様の言葉を聞いてです、お母さんの方を見て言いました。
「おっ母も困るな」
「いや、あたしはいいんだよ」
お母さんはその太郎にこう返しました。
「老い先短いしね、けれどね」
「僕がなんだ」
「御前はずっと誰も知らないところで暮らしていくことになるからね」
「僕はどうにかなるよ、釣りをして生きていくから」
釣ったそのお魚を食べてというのです。
「いいんだよ、それよりも」
「あたしかい?」
「おっ母がどうなるか」
「それでなのですが」
乙姫様が二人にあらためて言ってきました。
「何でしたらずっとここで暮らしませんか?」
「この竜宮城で、ですか」
「そうです、お二人共です」
太郎もお母さんもというのです。
「この御殿の中で」
「それはどうしてでしょうか」
「太郎さんは亀を助けてくれました」
まずはこのことを言うのでした。
「そしていつもお母さんのことを第一に考えておられますね」
「息子ですから」
「ご子息でもそう出来る方はそうはおられません」
「そうなのですか」
「そのお心を見てです」
そうしてというのです。
「私の夫にもと思いまして」
「乙姫様の」
「私はまだ独り身です、お父様である龍王にもお話しました」
「龍王ですか」
「はい、東海龍王にお話しました」
この龍王にというのです、東の海を治める龍達の王様である龍王達の中でも特に偉い龍として知られています。
「すると太郎さんの様な方ならとです」
「乙姫様の夫にですか」
「相応しいということで」
「では」
「どうか私の夫、私のお義母様となってです」
そのうえでというのです。
「ここにおられて下さい」
「私からもお願いします」
亀からも言ってきました。
「ここで暮らして下さい」
「竜宮城の中で」
「皆で楽しく」
海の人としてというのです。
「そうして下さい」
「おっ母はそれでいいのかい?」
太郎はここでもお母さんに尋ねました。
「ここにずっと暮らしていいかい?」
「御前が幸せならそれでいいよ」
お母さんは優しくです、太郎に答えま
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