第一章
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新説浦島太郎
昔々ある漁村に浦島太郎というとても母親思いでしかも心優しい若者がいました。太郎はいつも釣りをしてお魚を獲って暮らしていました。
この日もお魚を沢山釣ってそれを家に持って帰ろうとしていましたが。
砂浜を歩いていてです、子供達が亀をいじめているのを見てです。
「これ、止めなさい」
子供達を止めるのでした。
「いじめたりしたらいけないよ」
「あれ、太郎さん」
「それはどうしてなの?」
「君達がいじめられたらどうかな」
逆の場合を考えてみて欲しいというのです。
「嫌だよね」
「そう言われると」
「確かにね」
「僕達もね」
「いじめられたら嫌だよ」
「それならだよ」
だからだというのです。
「そんなことをしたら駄目だよ」
「そうだよね、自分がやられて嫌だったら」
「他の誰にしても駄目だよね」
「絶対に」
「そうだよ、じゃあわかったね」
「はい」
子供達は太郎の言葉に頷きました。
「それじゃあ止めます」
「いじめはもうしません」
「二度としたら駄目だよ」
念を押す太郎でした。
「わかったね」
「わかりました」
子供達も頷きました、そしてです。
その場を素直に去りました、残ったのは太郎と亀です。亀はとても大きな海亀でした、その海亀を見てでした。
太郎は今度はです、亀に声をかけました。
「大丈夫かい?」
「はい、有り難うございます」
亀は太郎に深々とお礼を言いました。
「本当に」
「いやいや、助かって何よりだよ」
「砂浜にあがりましたら」
その時にというのです。
「子供達が来てです」
「囲まれてだね」
「いじめられまして」
「子供はね」
「ああしたこともですね」
「するからね」
困った顔で言う太郎でした。
「気にしないでね」
「わかりました」
「それで気をつけてね」
くれぐれもというのです。
「このことは」
「次からはですね」
「そうだよ」
「わかりました。それでなのですが」
「それで?」
「はい、助けて頂いたお礼にです」
亀は太郎にこうも言うのでした。
「竜宮城にお招きしたいのですが」
「竜宮城?」
「はい、海の中にある御殿でして」
「そこになんだ」
「貴方をお招きしたいと思いまして」
「いや、それはね」
その申し出にです、太郎は。
複雑なお顔になってです、亀に答えました。
「結構時間がかからないかい?」
「ほんの数日ですが」
「実は今から家に帰るところなんだよ」
太郎はこう亀に言うのでした。
「実はね」
「といいますと」
「だから、家にはおっかあがいて」
「ご母堂がですか」
「僕の帰りを待っているからね」
「だからですか」
「そ
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