暁 〜小説投稿サイト〜
手長足長
第四章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後
「わしにも考えがあるぞ」
「わし等をやっつけてか」
「村に来るというのか」
「気が向けばじゃがな」
 それでもというのです。
「御主達をやっつけてな」
「ではじゃ」
「わし等が御主を退ける」
「今ここでな」
「そうするぞ」
 どうしてもとです、二人で熊に言います。
「それでもよいか」
「力づくでもな」
「ふん、御主達で勝てるのか」
 熊も負けていません、二人を睨み返して言い返しました。
「わしに」
「そうしてみせるわ」
「二人でな」
「ならやってみろ、わしは強いぞ」
 熊はその巨大な身体と爪、それに牙を誇示してもきました。
「力づくなら相手になるわ」
「そこまで言うのなら仕方ない」
「やってやるわ」
 こう言ってでした、そのうえで。
 二人は熊との戦いに入りました、熊はその巨大な身体で二人に向かいますが。
 まずは足長がです、そのの脛を前から蹴りました、するとです。 
 脛を蹴られて思いきり痛かった熊はです、思わず動きを止めました。その熊の脳天にです。
 今度は手長が拳を浴びせました、今度の一撃も痛くて。
 熊は完全に動きを止めてしまいました、そのそれぞれの一撃を浴びせてからです。
 そしてです、二人は熊に言いました。
「まだやるか?」
「何ならまだ相手になるぞ」
「さあ、どうする」
「やるのか」
「いや、参った」 
 脛と脳天をやられた熊はです、痛みに必死に耐えながら二人に答えました。
「わしが攻める前に攻めて来るなんてな」
「わし等の手脚の長さを甘く見るな」
「こんなことは普通だ」
「わし等にとってはな」
「これ位は出来るわ」
「二人でそこまで手足が長いと」
 それこそと言う熊でした。
「どうしようもないわ」
「若し村に来るのならな」
「こうしてわし等が相手になってやる」
「それが嫌なら来るな」
「わかったな」
「ああ、わかった」
 熊もこう応えてでした、そのうえで。
 ほうほうの体で逃げていきました、こうして村は守られました。
 村人達は二人が熊を退けてくれたことに心から感謝しました、ですが二人は村の人達にここでもこう言うのでした。
「いや、わし等一人一人だとな」
「あの熊にも勝てなかった」
「肩車で大きくなってな」
「それぞれ手足が同時に使えたからだ」
「だからあの熊にも勝てたんだ」
「そうだったからな」
 それでというのです。
「わし等は大したことはないさ」
「二人でないとちっぽけなものだからな」
「そう言うんだな」
「御前さん達はやっぱり二人で力を出すのか」
「万全に」
「そうなんだな」
 村の人達はこの時にでした。
 ようやくそのことを理解してでです、あらためて言いました。
「それじゃあな」
「これからも二人で
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ