第三章
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「まことに」
「そうしてくれるのか」
「うむ、そうじゃ」
「だから安心してくれ」
「では早速な」
「熊を何とかしてくる」
二人は落ち着いた声で一緒に山に向かいました、熊がいるその山に。
山に入ると足長がです、手長に言いました。
「ではな」
「ああ、今からな」
手長も応えます。
「はじめるか」
「いつも通りな」
「じゃあ頼むな」
「こちらこそな」
お互いにお話してでした、足長は手長を肩車で背負いました。すると二人はそれでもうどの木よりも大きくなりました。そしてです。
手長は足長に肩車をしてもらったその姿勢で、です。周りを見回しました。山の森の遠いところまでです。
そしてです、東の方を見て言いました。
「あっちじゃ」
「あっちにか」
「うむ、いるぞ」
二人が探している相手がというのです。
「途方もなく大きいからすぐにわかった」
「そんなに大きいか」
「皆が言う通りじゃ」
村の、です。
「本当に大きいわ」
「そうか、では東じゃな」
「そっちに行ってくれるか」
「わかった」
足長も頷いてでした、そうして。
二人は肩車の姿勢のままで、でした。
東に向かいました。するとそこに手長が言った通りとんでもなく大きな真っ黒な熊がいました。
二人はその熊のところに来てです、熊に声をかけました。
「いいか?」
「話があるんだが」
「御前さん村には来るな」
「村はわし等の場所じゃ」
「何だ?見慣れない奴だな」
熊は二人に声をかけられ怪訝なお顔を向けました。
「二人合わさっておるのか。変わった奴等じゃな」
「変わっているのは見ての通り」
「それぞれ手や足が凄まじく長いからな」
「しかし我等は人間じゃ」
「このことは確かじゃ」
「その人間が何の用じゃ」
熊は二人に身体を向き直し立って尋ねました。すると実際にどんな木よりも大きかったです。今の二人程ではありませんが。
「村に来るなと言ったが」
「だからその通りじゃ」
「言ったままじゃ」
「村には来るな」
「あそこはわし等の場所じゃからな」
「そんなことは知るものか」
熊は二人にすぐに反論しました。
「わしはわしじゃ、熊じゃ」
「熊だからか」
「人の決まりは関係ないか」
「そうじゃ、行きたいところに行き」
そしtげというのです。
「食いたいものを食う」
「だからか」
「村に来るというのか」
「気が向いたらな、そうするわ」
実際にというのです。
「人の決まりなぞ知るか」
「そう言うのならわし等にも考えがあると」
「しかとな」
二人は熊の言葉を受けてこう返しました。
「ならばな」
「そう言うのならな」
「どうしてもと言うのならな」
熊もさらに言います。
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