1部分:第一章
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に羊はいいな」
デカログもそれに頷く。彼も羊は好きなのだ。
「じゃあ羊料理にするか」
「中国の羊料理ね」
「ああ。これが中々いけるらしいんだよ」
こう妻に話す。実は彼自身が行きたくてたまらず妻をその気にさせようとしているのである。しかし妻にはそれは出してはいない。
「どうだい?」
「そうね、行きましょう」
ジェーンもそれに乗った。
「そういうことでね」
「よし。じゃあ明日行くか」
「ビリーも一緒よ」
ここでまた足元のビリーをいとおしげに見るのだった。本当に大事にしているのがわかる。
「いつも通りね」
「ああ、それは絶対だ」
デカログも一も二もなく妻の言葉に頷いた。
「ビリーを置いて何処にでも行けるものか」
「そうよね。もう子供も孫も皆家を出たし」
ここではジェーンは寂しげな顔になった。今家にいるのはこの夫婦だけなのだ。それを思うとやはり寂しくその分だけビリーがいとおしいのである。
「ビリーしかいないものね」
「そういうことだ。じゃあ明日な」
「ええ」
こうしてそのチャイニーズレストランにビリーと共に行くことになった。その当日。レストランは本格的な中華風であり異国情緒を二人に見せていた。赤っぽい木の柱も金色の装飾も二人の目を楽しませる。とりわけ看板でもそうだが黒や金色に書かれた感じが彼等をして中国に来たような気にさせて心を楽しませていた。
「中々いい内装ね」
「ああ、それで評判もいいらしい」
店の中を赤いチャイナドレスのウェイトレスに案内されながら進む。その中で妻に対して述べた。
「本格的だってことでね」
「味は?」
「味も折り紙つきらしいね」
にこりと笑って妻に述べる。
「一度食べたら病みつきになるらしい」
「そんなになの」
「ああ。とにかく美味いらしい」
「そう。じゃあ期待させてもらうわ」
見れば案内しているウェイトレスは金髪で彫のある顔でそれを見ただけで彼女がオーストラリア人であることがわかる。しかしそれは今はどうでもよく先に進むのだった。ところがここでそのウェイトレスが振り向いて二人に告げるのだった。
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