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支持率
第一章
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                 支持率
 アドルフ=ヒトラーの支持率を聞いてだ、衆議院議員である篠宮洋一はこう言った。
「そんな支持率は期待しない方がいい」
「八十七パーセントはですか」
「あまりにも高い」
 こう秘書の渡辺秀央に言うのだった。丸眼鏡が目立つ太った陽気な顔で。小柄で髪の毛は白いものが混じっている。その顔で彼とは正反対の背が高く細面でだ、端整な顔の持ち主に言った。
「というか高過ぎる」
「そうですね、確かに」
 渡辺も彼の言葉に頷いた。
「幾ら何でも」
「うん、それこそね」
「高くて六十とか」
「それはまずね」
「六十もですよね」
「政権発足時でないと」
 所謂ハネムーン期間の様なものだ。
「日本じゃないね」
「そうですね」
「そう、普通はね」
 それこそとだ、篠宮は渡辺に言った。
「ないよ」
「あるにはありますが」
「すぐにだったね」
「はい、最初だけで」
「後はあっという間だったね」
 それこそとだ、篠宮も言う。
「落ちたね」
「そういった政権も」
「マスコミがその政権を嫌っていれば」
 日本ではマスメディアの中立程有名無実化しているものはない、恣意的な報道や捏造報道がまかり通っているという。
「無茶な報道を連日連夜やってね」
「読者や視聴者を信じ込ませて」
「嘘を言うには法則があるんだ」
「はい、どんな嘘でもですね」
「何度も何度も大声で言えば」
 それでとだ、篠宮は温和な顔に冷めた目で言った。
「それで信じるんだ」
「まさにヒトラーですね」
「恐ろしいことにね」
「日本のマスコミは普通にそういうことしますね」
「慰安婦でも何でもね」
「ベトナム戦争でもやったそうですね」
「平気でやったよ」
 それこそtだ、篠宮は冷めた目のまま述べた。
「南ベトナムに北ベトナム軍は一兵も行っていないってね」
「あれはベトコンのアメリカや南ベトナム政府に対するレジスタンスですね」
「そう言っていたんだ」
 紛れもなく、というのだ。
「しっかりとね」
「大嘘でしたね」
「彼等は間違いなく嘘だと知っていたよ」
 ベトナムのその真実をとだ、篠宮は語った。
「そんなことはすぐにわかるからね」
「ベトナムを見れば」
「普通にね、けれど彼等は真実を隠し」
「そうした報道を繰り返しましたね」
「それが日本のマスコミだよ、あの頃からね」
 それこそという口調での言葉だった。96
「一歩も変わっていないから」
「どんな報道でもしてきますね」
「だからね」
「政府を攻撃する為にも」
 そうした報道をするからだというのだ。
「だから政府の支持率も」
「簡単にね」
「下がりますね」
「そしてね」
 さらにとだ、篠宮は言った。
「目立つことがあれ
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