第三章
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涼平は彼女を押さえた、そしてだった。
事務所でだ、涼平は夜に智久と二人で話をした。その話はというと。
仕事の話だった、涼平は智久にウイスキーのロックを手にしつつ言った。
「奥さんはな」
「はい、静かにしてもらう様にですね」
「強く言ったからな」
「ご自身のことをですね」
「あの奥さんもな」
どうにもという口調で言うのだった。見れば智久も飲んでいるが彼が飲んでいるのはコーラに氷を入れたものだった。
「絶対にな」
「浮気してますね」
「そうしたことをする目だよ」
「実際に調べますか?」
「いや、あの人のプライベートは依頼に入ってないから」
だからというのだ。
「いいさ」
「あくまで予想ですね」
「ああ、愛人がいてな」
そしてというのだ。
「浪費も凄いな」
「つまりお互い様ですね」
「似た者夫婦だな」
涼平はこの言葉はシニカルな口調で言った。
「結局のところ」
「そうですか」
「こうした話の常だよな」
「そうですね、離婚の調停になると」
「旦那さんが怪しいって言いながらもな」
「ご自身もですね」
智久はクールな顔で言った。
「怪しいんですね」
「似た者同士だから結婚してな」
「同じことをするんですね」
「そういうことだな」
「そうですね、けれどですね」
「ああ、仕事だからな」
それでというのだ。
「ちゃんと金も貰ってるし」
「しかもかなり」
「俺は完全に仕事をするけれどさ」
「報酬は高いですね」
「それはもう宣伝してる通りさ」
笑って言うのだった、あてのピーナッツを口に入れて噛み砕きつつ。
「俺はそうした弁護士なんだよ」
「そういうことですね」
「セクハラと言いながら実は不倫関係でしたとかな」
「ありましたね、そうした依頼も」
「別れるって言われてそう騒ぐとかな」
以前の仕事のこともだ、涼平は話した。
「あったよな」
「そうでしたね」
「まああの話もな」
「セクハラってことで済ませましたね」
「白を黒と言ったさ」
「そうでしたね」
「そして今もだよ」
今回の仕事もというのだ、依頼を受けているこの件も。
「事実は隠してな」
「そしてですね」
「やっていかないとな」
「そういうことですね」
「じゃあ奥さんの望むままにな」
依頼主の彼女のというのだ。
「進めていこうな」
「わかりました、それじゃあ」
「旦那さんの浮気の証拠は掴んだし」
怪しいと思われそして離婚の格好のネタになるそれがというのだ。
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