第一章
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支え合うもの
渚涼平は個人で弁護士事務所を開いている、彼の他には助手の我木智久がいる。
二人共かなり背は高い、しかし顔立ちはそれぞれ違う。
涼平は細面で黒髪を左右に分けていてすっきりとした切れ長の整った目を持っている。鼻も高くきりっとしている。
智久は細い目でそれが鋭い。引き締まった眉と口元が印象的だ。
二人は共に事務所でいることが多い、事務所の中はいつも智久が掃除をしているので奇麗だ。
その清潔な事務所の中でだ、涼平は自分の席から彼の席に座っている智久に言った。
「智久ちゃんいいかい?」
「先生どうしたんですか?」
「今度の仕事だけれどさ」
涼平が言うのはこのことだった。
「離婚調停の話ね」
「ああ、大島さんのですね」
「あの夫婦どう思う?」
涼平は微妙な顔で智久に尋ねた。
「智久ちゃんは」
「そうですね」
一呼吸置いてからだ、智久は答えた。
「あの旦那さんに問題がありますね」
「そうだよな、やっぱり」
「何も言わないですけれど」
「雰囲気でわかるだろ」
「奥さんにも尻尾を掴ませていませんが」
「奥さんの方はな」
この妻が依頼主である。
「あれだよね」
「はい、不信感を抱いてそれが止まらないので」
「離婚したいって言ってね」
「今回の仕事になっていますけれど」
「あの不信感根拠あるよ」
涼平は腕を組んで言った。
「間違いなくね」
「俺もそう思います」
「わかるよね、智久ちゃんも」
「はい、こうした仕事をしてますと」
「何かわかるんだよね」
「そうした人ばかりですからね」
離婚調停だのそうした話を持って来る人はというのだ。
「だからわかりますね」
「そうそう、俺達にしてもね」
「経験ってやつですね」
「それだね、あの奥さんは直感でわかったんだよ」
「旦那さんが信用出来ない人だって」
「あの旦那さんはバツヨンか」
「四回離婚してますね」
今度は夫のことを話すのだった。
「それって結構以上に」
「うん、問題がないとね」
「そこまでなりませんね」
「かなり大きな会社の社長で金あるからな」
「お金があるってことは」
「ああ、遊べるよな」
資産がある分とだ、涼平はここで推理した。
「その分だけ」
「そうだよな、じゃあな」
「それならですね」
「ああ、旦那さん浮気してるな」
直感的にだ、涼平はこのことを察した。
「それで奥さんは察してな」
「離婚ですね」
「ただ、あの奥さんもな」
涼平は再び依頼主のことを話した。
「結構曲者だな」
「ですね、昔は銀座のやり手のホステスで」
「結構以上に男に貢がせてたらしいからな」
「ご主人と会ったのも」
「そうそう、店で知り合ってだか
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