第三章
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「方法がある」
「そこはもう頭の中にあるよな」
「無論だ」
雄輔にも冷静に返す。
「いつもの仕事だ」
「探偵のな」
「だからだ、まずはだ」
「公園に行くのか?」
「依頼主の人がその猫とはじめて会ったな」
まずはそこだというのだ。
「依頼主さんは家猫にしていた」
「ってことはね」
今度は由紀が言う、考える顔になって。
「今わかっている今回の猫ちゃんの居場所は」
「公園だ」
「そこに住んでいたのよね」
「その可能性が高い」
「けれどな」
雄輔がここで言った。
「依頼主さんその公園で猫探したって言ってたよな」
「その通りだ」
「けれど見付からなかったって言ってたぜ」
にやりと笑ってだった、雄輔はあえてといった口調で拓篤に言った。
「依頼主さんは」
「そうだな」
「けれどなんだな」
「依頼主さんと猫の接点はそこしかない」
その公園だというのだ。
「そこしかない」
「だからだな」
「まずはだ」
「そこに行くか」
「そうする、それでだが」
「ええ、わかってるわよ」
由紀がまた言う、ここで。
「持って来てるから」
「いつものことだからだな」
「そう、本当にいつもだから」
「猫を探して確保する時はな」
「そうでしょ、だからもう用意しているわ」
「犬なら犬でやり方があるけれどな」
「猫も同じだ」
拓篤は冷静なまま雄輔に応えた、そしてだった。
三人でその公園に行った、公園にはジャンングルジムや滑り台があり砂場やアスレチックな子供達が遊ぶ場所もある。
その公園に来てだった、三人は。
公園の中を歩き回ってだ、ある場所に来た。そこは何の変哲もない木と木の間の少し広い場所であった。
そこにだ、由紀はあるものを出した。それはというと。
葉に枝、それにキャットフードだった。そうしたものを出してだ。
その場に撒いてだった、拓篤と雄輔に言った。
「これでいいわね」
「うむ、後はだ」
「待ってるとね」
「来る」
雄輔は確かな声で言い切った。
「彼等がな」
「そういうことよね」
「その時を待っていればいい」
「それじゃあね」
「今回もいつも通りだな」
雄輔は今は余裕の顔で述べた。
「物陰に隠れて待つか」
「幸いだ」
「公園だからな、ここは」
「隠れる場所が多い」
「本来は子供が隠れる場所だけれどな」
それでもとだ、雄輔は明るい表情のまま話した。
「今は俺達がそうするか」
「そういうことだ」
「私は隠れなくていいわよね」
由紀は二人ににこにことして尋ねた。
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